研究課題/領域番号 |
24590265
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
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研究分担者 |
古賀 憲幸 久留米大学, 医学部, 講師 (30309851)
力丸 由起子 (西 由起子) 久留米大学, 医学部, 助教 (90368960)
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キーワード | マクロファージ / 線維芽細胞 / 細胞間接着 / 細胞性ネットワーク / 皮膚病変 / ケロイド / 肥厚性瘢痕 |
研究概要 |
本課題で目的とする皮膚の炎症時におけるマクロファージと線維芽細胞の関係について、 ①FIB/SEMトモグラフィーによる次世代ストラクトーム解析の結果、正常像とは明らかに細胞の接触は異なる事が明らかとなった。炎症部では細胞こそ多いもののその接触は、点的で、積極的な相互接触は明らかに減少していたい。 ②ヒト肥厚性瘢痕及びケロイドの解析を行った所、予想以上にマクロファージが少なく、接触自体が少ない印象を与えるものであった。この傾向が普遍的なものであるのか否か、実施数を増やすこと、また免疫組織学的解析から今後求めていく。 ③培養系における線維芽細胞とマクロファージの共培養系の確立には、H24年度達成出来ず遅れていたが、H25度の研究によりその系が確立した。両者単独培養では、両細胞はシャーレ中にランダムに分散しているが、共培養系に写すことにより、両者が積極的に関係を持ち、線維芽細胞の下に多くのマクロファージが潜り込むように入り接触を保っている様子が観察された。すなわち、皮膚線維芽細胞は、マクロファージとの直接コンタクトによる何らかの関係を築くことがin vitroにおいても証明されたと考えられる。一方、タイムラプス観察により、両者が接触した直後にお互いの細胞が細胞死に至る様子も観察された。今回マクロファージとして腹腔マクロファージを用いた、皮膚のレジデントマクロファージとの性質の差違は予想され、線維芽細胞とコンタクトを持つのはマクロファージの中でも特定のポピュレーションである可能性が考えられる。 ここまでの結果から、皮膚炎症時の細胞はサイトカインだけでなく、ダイレクトコンタクトによる制御を受けている可能性が形態学的側面から予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FIB/SEMによるストラクトーム解析については順調に試料作製が進んでおり、解析も順次進めている。臨床材料の解析にはn数を稼ぐ必要がある。しかし、現在国内で唯一稼働する生体3次元解析用FIB/SEMの使用頻度が極めて高く、この点が進行を遅らせている。 ダイレクトコンタクトに関連する分子探索については共培養系の確立に手間取り、H24年度の遅れの影響で概ね半年の遅れが出ている。現在、共培養系は確立し、タイムラプス観察等、ライブイメージングによる動態解析がほぼ完了しており、次の段階であるmicroArrayに持って行ける状態に来ている、当初の遅れは否めないものの、その後は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
FIB/SEMトモグラフィーの解析数については、実験モデル群についてその実験範囲を縮小することでカバーする。得られるデータの信頼性が揺らぐ事の無いよう、皮膚モデルを2モデルから先行している1モデルに資源を集中する。 また、臨床材料については、それぞれ数例のFIB/SEM像は得られているので、今後は免疫組織学的解析を重視し、解析を進める。 ダイレクトコンタクトに関連する分子探索については、Microarrayを専門とするベンチャー企業と契約を進めており、解析等の問題をより迅速に対応出来るよう準備をしている。これによって得られたデータを基に、組織アレー等を用いて網羅的解析を行うことで、今年度後半には目的を達成する方向で進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費支出を開始したのが当初よりかなり遅れたこと、また、MicroArray解析の外注が年度内に間に合わなかったことが主な原因であり、その結果、その該当額、762千円を次年度使用額(B-A)とする予定である。 上記2件は、現在進行しており,人件費は4月より支出を開始する。またMicrArray解析についても6~7月には実施予定である。それ以外は計画の通り進行することを計画している。。
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