研究課題/領域番号 |
24590268
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 紳一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (10375305)
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キーワード | 循環調節 / 交感神経系 / 副交感神経系 / ストレス / 発汗応答 / ピエゾ素子 / 心電図 / 国際情報交換 |
研究概要 |
25年度の研究計画に基づいて、前年度に続き非拘束自由行動下でマウス心拍数連続記録を可能にする平板型心電図複合センサーの改良を行った。前年度は平板型心電図複合センサーは30個の長方形電極(1.5×2.3cm2)を約19×10cm2のガラスエポキシ基板上に配置したものを作成したが、心電図検出率(時間割合)が10%以下のことも多く低かったため、平板型心電図複合センサーの電極パターンを幅約3mmの15本の平行線とするシンプルなパターンに変更を行った。直後の実験では心電図検出率が50-80%と比較的高く電極パターンの効果と思われたが、その後に行った数回の実験において明瞭な心電図がほとんど記録できないことが続いた。増幅回路などシステムの異常は発見されず、マウスの心電図が記録できない原因がしばらくの間不明であった。そのため、膨大な量の15chデータの Digital Signal Processor (DSP)あるいは Micro Processor Unit (MPU)などを利用したデータ圧縮アルゴリズムの開発を行うことができなかった。数か月後、マウスのケージを棒で叩いた時に心電図が現れることを偶然発見し、マウス心電図の検出にはマウス四肢足裏の皮膚表面の適度な発汗が必要であることをつきとめた。以上のように、床面のマルチ心電図電極板方式は、マウス足裏の発汗に依存するものであり、安定した心電図検出は容易ではないことが分かった。したがって、26年度実施予定のマウス心電図長時間記録は多少の研究計画の変更が必要となる恐れがある。 以上の重大な研究の障壁は、一方で新たなストレス発汗応答の実験系の創出に繋がった。また、このストレス発汗応答実験を数十回繰り返したところ、ストレス後の安定した心電図記録が可能となったため、得られたデータを基に15chデータを1chデータに圧縮する方法を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の途中、マウスの心電図が記録できない原因がしばらくの間不明であったために研究が停止した期間もあったが、最終的に15chデータの1chデータへの圧縮方法を発見し長時間記録を可能にするなど、次年度の睡眠時および活動時のダイナミックな心拍数変化の記録を行う平板型心電図複合センサーシステムを原理的にほぼ完成させた。実際のデータ圧縮システム試作は26年度初期に行うこととなった。(特許取得も検討) 心拍数記録実験においては、マウス足裏の発汗が生理的に変化するため、心電図の長時間安定記録は困難が予想される。しかしながら、逆にこの障壁が新たなマウスのストレス発汗応答の実験系の創出に繋がったことは予想外の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
始めに、平板型心電図複合センサーを用いたマウス心電図の長時間記録を可能にするため、15chデータを1chに圧縮するデータ圧縮電子回路システム試作を完成させる。次に、そのデータ圧縮システムを用いて、26年度の研究計画に従い睡眠時および活動時のダイナミックなマウスの心拍数変化の記録を行う。但し睡眠時はマウス足裏が床面に接触しない丸い姿勢になることも少なくないため、心電図・ピエゾ複合センサーと高感度のピエゾセンサーを並行して記録実験を進めていく。そして、データ収集後の解析において、睡眠時、活動時の急激な心拍数変化が交感神経活動、副交感神経活動あるいは両者の協調作業により制御されているか自律神経ブロッカーを用いた実験により確認し、ダイナミックな循環調節機構についてまとめ、論文を作成し国内外で発表を行う。 また、生直後からのマウス・ラットにおける足裏の発汗と心電図記録との関係を調べ、幼弱期の齧歯類において平板型心電図複合センサーが利用可能か調べる。さらに、マウスのストレス発汗応答の実験データをまとめ、新たなストレス実験系の創出を提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平板型心電図複合センサーによるマウス心電図の記録が予定より遅れたため、マウス購入費分約2万円の次年度使用額が生じた。 最終年度であり、平板型心電図複合センサーシステム試作を完成させて睡眠時および活動時の心拍数記録実験を行い、データ解析の後に論文をまとめて発表を行う。 詳細は以下のとおりである。 16Chデータ圧縮回路(1Ch出力)を作成する(30000円)。マウスを購入し(40000円)睡眠時および活動時の心拍数変化を記録する(試薬:5000円)。記録データを整理し(資料収集・整理:50000円)解析を行い(研究補助:100000円)論文をまとめ(英文校正等:75000円)国内外で発表する(700000円)。特許出願または余裕があれば研究成果を公表するホームページを作成する(100000円)。
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