研究課題/領域番号 |
24590271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中田 勉 信州大学, 医学部, 講師 (70452141)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | L型カルシウムチャネル / リアノジン受容体 / 結合膜構造 / ジャンクトフィリン |
研究概要 |
本研究では,骨格筋芽細胞株であるGLT細胞およびC2C12細胞を用いて,L型カルシウムチャネルの結合膜局在化機構とジャンクトフィリン(JP)の関係について検討を行った。JP1およびJP2をsiRNAによりノックダウンした後,免疫染色法によりLTCCとRyRの局在を決定した。その結果,JP1とJP2をノックダウンした筋管では,LTCCの結合部への集積が阻害された。一方,RyRの結合膜構造への集積はJP2のノックダウンで強く抑制されたが,JP1のsiRNAを導入しても有意な変化は無かった。JP1またはJP2をノックダウンしても,他方のサブタイプの発現量,局在に変化は見られなかった。また,JP1およびJP2をノックダウンしたC2C12由来の筋管でパッチクランプ法による解析を行った結果,JP2を抑制すると,LTCC電流が有意に減少した。しかしゲーティングチャージムーブメントには影響を与えなかった。さらにFluo-4を用いたCa2+イメージング法による検討を行った結果,JP1とJP2のノックダウンにより,電気刺激依存性のCa2+トランジェントを起こす筋管数が有意に減少した。 これらの結果から,JPは結合膜構造の維持のみでなく,LTCCとRyRの局在・機能に関与していることが示唆された。また,JP1とJP2がそれぞれ異なるチャネルの局在・機能に影響することから,サブタイプによって生理的役割に違いがある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JPとLTCCの結合に関してGSTプルダウンによる検討を行う予定であったが,リコンビナントタンパク質の可溶化が困難であり,当初の目的は達成出来なかった。一方,次年度に検討する予定であったパッチクランプ法やカルシウムイメージング法による生理学的解析については既に一定の結果が得られており,総合的に見ておおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
LTCCおよびRyRの局在・機能とジャンクトフィリンの関係について検討を行う。JPとLTCCの結合については,GSTプルダウン法にて解析を行う。これまでLTCCの細胞内ドメインをリコンビナントタンパク質として発現させることが出来なかったが,大腸菌,発現ベクターなどについて新たな組み合わせを検討する予定である。現在既に低温発現系で数種類の目的タンパク質が可溶化できることを確認している。 結合部位が特定できた後,その部位に変異を導入したチャネル遺伝子を作製し,GLTもしくはC2C12細胞に発現させ,局在の変化を観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は,計画通り分子生物学用試薬,電気生理学用試薬,カルシウム蛍光指示薬などの試薬類,プラスチックチューブ,シャーレ,チップ,ピペット等の消耗品に使用する予定である。研究の進捗状況により,昨年購入しなかった試薬分の残額があるが,これも消耗品購入に当てる。
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