研究課題/領域番号 |
24590271
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中田 勉 信州大学, 医学部, 講師 (70452141)
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キーワード | L型カルシウムチャネル / リアノジン受容体 / 結合膜構造 / ジャンクトフィリン |
研究概要 |
本研究では,骨格筋芽細胞株であるGLT細胞およびC2C12細胞を用いて,L型カルシウムチャネル(LTCC)の結合膜局在化機構とジャンクトフィリン(JP)の関係について検討を行っている。昨年度までに,JP1およびJP2をsiRNAによりノックダウンすると,LTCCの結合膜局在化が阻害されることや,細胞内Ca動態に影響があることを見いだした。 本年度はJPとLTCC及びリアノジン受容体(RyR)の物理的な結合について検討を行った。始めに,骨格筋由来のミクロソームを用いて共免疫沈降を行った結果,JP1,JP2,LTCC,RyRが複合体を形成していることが明らかになった。 次にJPとLTCCの結合について詳細な検討を行うため,GSTプルダウンアッセイを行った。LTCCの細胞内ドメイン(N末端,I-IIループ,II-IIIループ,III-IVループ,C末端)を,GST融合タンパク質として大腸菌に発現させた。精製したGST融合タンパク質とミクロソームを用いてプルダウンを行った結果,JPはLTCCのC末端に特異的に結合していることが明らかになった。さらに結合部位を絞り込むために,C末端の部分配列をGST融合タンパク質として精製し,同様の実験を行った。その結果,C末端に存在する12アミノ酸残基の領域が,結合に重要な役割を果たしていることを見いだした。また,この部位を点変異によってアラニンに置換すると,JPとの結合が強く抑制された。 これらのことから,LTCCがC末端を介してJPと結合していることが明らかになった。前年度までの結果と合わせると,JPはこの結合を介して,LTCCの機能・局在を調節している可能性が高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度まで,GSTプルダウンに用いるリコンビナントタンパク質の可溶化が困難であったが,様々な条件を検討した結果,実験を進めることができた。このため目標としていたJPとLTCCの結合の確認については,順調に成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
LTCCおよびRyRの局在・機能とジャンクトフィリンの関係について検討を行う。JP結合ドメインに変異を導入したLTCC遺伝子を作製し,GLTもしくはC2C12細胞に発現させ,局在の変化を観察する。さらにCaイメージングにより,ECカップリングへの影響を観察する。 また,JPのリコンビナントタンパク質を作製し,LTCCとの結合に必要なドメインを決定する。結合部位が特定できた後,その部位だけを細胞に発現させ,LTCCのクラスタリングを抑制するドミナントネガティブとして働くかどうかを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況により,購入を見送った試薬があるため,次年度使用額が生じた。 次年度使用額はH26年度の試薬購入費に加え,分子生物学用試薬,電気生理学用試薬などの購入に充てる。
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