研究実績の概要 |
本研究では,骨格筋芽細胞株であるGLT細胞およびC2C12細胞を用いて,L型カルシウムチャネル(LTCC)の結合膜局在化機構とジャンクトフィリン(JP)の関係について検討行っている。昨年度までに,JP1およびJP2をsiRNAによりノックダウンすると,LTCCの結合膜局在化が阻害されることや,細胞内Ca動態に影響があることを見いだした。またLTCCのCaV1.1サブユニットのC末端に存在する12アミノ酸残基が,JP1との結合に重要であることを明らかにした。 本年度は,まずCaV1.1のJP結合部位が,LTCCの細胞内局在に実際に関係しているかどうかを明らかにするための実験を行った。JP結合部位にアラニン変異を導入したCaV1.1サブユニットの発現ベクターを作製した。これをGLT細胞に発現させ,免疫染色法により細胞内局在を調べた。その結果,変異体は結合膜構造への局在が有意に低下することが明らかになった。この結果はLTCCの正常な局在に,JPとの結合が必要であることを示唆している。 次にJP1のCaV1.1結合部位を特定する実験を行った。マウスJP1の各部位をGST融合リコンビナントタンパク質として大腸菌に発現させた。精製したリコンビナントタンパク質と骨格筋ミクロソームを用いて,GSTプルダウンアッセイを行った。その結果,JP1の細胞内部位に存在するアルファヘリックス構造付近が,CaV1.1との結合に重要であることが示唆された。 現在,JP1のCaV1.1結合部位をGLT細胞に発現させることで,LTCCの結合膜への局在を阻害することが可能かどうか検討している。
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