研究課題/領域番号 |
24590272
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
河合 佳子 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (10362112)
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研究分担者 |
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 特任教授 (80020832)
安嶋 久美子 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70584051)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 呼吸生理学 / 流れ刺激 / F1/FO ATP synthase / 炭酸ガス |
研究実績の概要 |
肺では従来、赤血球内のヘモグロビンの酸素化により排出される水素イオンと赤血球内の重炭酸イオンが反応して炭酸ガスを産生していると言われてきた。しかし一方で、実験動物の摘出肺の血管内に赤血球を含まないクレブス液を灌流しても炭酸ガスが排出されるという報告や、重症貧血患者でも呼吸性アシドーシスの合併症を起こさないことなど、従来の炭酸ガス化の概念では説明できない現象も知られていた。 また、血管内皮細胞に流れ刺激を加えると、内皮細胞表面にあるF1/FO ATP synthaseからATPが分泌され、そのATPが情報伝達物質として増殖能など多岐にわたる生物学的機能を制御しているという報告は多く見られたが、ATPと共に分泌される水素イオンについての生理学的意義については報告がなかった。 そこで、私共は培養系に移行したヒト肺細動脈由来血管内皮細胞に流れ刺激を負荷し、炭酸ガスの産生についての詳細な検討についての発表を行った。今年度は、上記のような新事実が実際に生体内でも成立するか否かを解析するため、白色家兎を用い肺細動脈の血行動態変化が炭酸ガス産生機構に及ぼす影響について検討した。その結果、血管内皮細胞への流れ刺激が生体内でも炭酸ガス産生に大きな影響を与えているという新しい実験事実を得ることができた。本結果は将来、現段階では有効な治療法が少ない原発性肺高血圧症の新規治療法の開発という臨床応用の面や、排出される呼気炭酸ガス量から肺血流量を推測する健康科学への応用への発展につながると考えられる。
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