研究課題/領域番号 |
24590273
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
|
研究分担者 |
鈴木 優子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20345812)
佐野 秀人 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80623842)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 血栓 / 凝固 / 血小板 |
研究概要 |
本研究は、血栓形成過程において、組織因子 (TF) が活性化血小板膜上の phosphatidylserine (PS) 上で活性顕在化しフィブリン形成に寄与する機構を解析するものである。 (1) フィブリン網中の血小板表面への PS 発現機序の解明 これまで液層中では、種々の生理的刺激を組み合わせても、約 20-30% の血小板が PS を露出するのみであった。本年度の研究において、フィブリノーゲン存在下で血小板をトロンビン刺激するとすべての血小板がフィブリン網に結合した後 PS を発現することを見いだした。PS 発現は GPIIb/IIIa 拮抗薬、フィブリン重合阻害薬、トロンビンインヒビター、アクチン重合阻害薬により抑制されたことより、これにはGPIIb/IIIa を介したフィブリン網への結合と、血小板形態変化により生じる張力による機械刺激が必須である事実が明らかになった。活性化血小板による凝固系活性化の増幅系として重要と考える。PLoSONE に報告した。 (2) 可溶性組織因子 (sTF) の PS への集積と活性発現機構の検討 上記で確認した露出 PS への sTF の集積動態を開始すると共に、in vivo の系で、血栓形成部位への sTF の集積を生体内共焦点顕微鏡を用いて観察している。いずれにおいても特異的な集積が確認出来た。活性発現(顕在化)との関連を今後検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in-vitro で、constant に PS を露出する系が確立出来たことは、今後の研究の進展に大きく貢献する。また同方法を用いて PS発現血小板に sTF が結合する結果も確認出来た。同部位での活性発現機構の解析を開始することが可能となった点は大きな進歩である。本機構は凝固系活性化の増幅機構を理解する上で重要であるが、凝固系開始機構に直結していない点が今後の課題として残っている。達成度の評価ではマイナス点となる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、可溶性 TF あるいは単球性白血病株である THP1 細胞をLPS 処理することにより得た TF 発現 microparticle を蛍光標識後血小板含有血漿に添加し、蛍光標識 FVIIa との共局在及び、局在部位を起点としたフィブリン網の形成を共焦点顕微鏡を用いて観察する。その際、蛍光標識 annexin V を用い、血小板表面に露出した PS の局在との関連を検討する。これにより TF/FVIIa 複合体形成並びに活性顕在化に及ぼす PS の役割を明らかに出来ると期待する。また TF 発現 microparticleは in-vivo の系でも用い、PS 発現部位への集積を解析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
申請時に計画した通り、主に蛍光試薬等の消耗品及びマウスに使用する。
|