研究課題/領域番号 |
24590278
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 大作 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教員 (60444535)
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研究分担者 |
真田 昌爾 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師(常勤) (70593797)
小室 一成 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教授 (30260483)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高血圧 / 腎動脈焼灼術 / 交感神経 |
研究概要 |
本研究の目的は市販されている不整脈用焼灼カテーテルを用いた腎動脈周囲神経焼灼術を行った際の遠隔期における解剖学的変化、病理変化に関して検討することである。最近、難治性本態性高血圧症例に対して腎動脈周囲を走行する神経を経カテーテル的に腎動脈内から比較的低エネルギーを用いて焼灼する治療の有用性が示された。本治療は今後本態性高血圧患者全般に応用される可能性がある非薬物治療である。これまで我々はブタを用いた急性実験において、4W-6Wでの焼灼で腎動脈内に血栓形成を認めず、また、腎動脈壁への過大な病理学的変化(外膜を大きく超えるような病変、血管全周の半分を超えるような病変)が生じないことを確認している。今回、6か月後の慢性期に腎動脈の解剖学的変化(狭窄または動脈瘤の形成など)および病理学的変化を検証することを目的とする。 全身麻酔に続いて、大腿動脈をセルジンガー法を用いて穿刺、外筒を挿入。腎動脈造影により、術前の腎動脈の血管構造を観察する。またアデノシン製剤の腎動脈内注入を行って血圧の変化を観察する。その後、焼灼用カテーテルを腎動脈の遠位側に進め、4-6Wで高周波通電を行う。左右の腎動脈で高周波通電を行った後、腎動脈造影を実施し、腎動脈の狭窄の有無を確認。大腿動脈の穿刺部位に止血処置を行い、急性期実験を終了。その後、6カ月間、同施設の飼育場において通常食を摂取させる。術後6カ月の時点で、同様の麻酔処置ののち、両側腎動脈造影を実施。腎動脈狭窄・拡張の有無を確認する。続いて、アデノシン製剤を腎動脈内に注入し、血圧を観察する。それらの終了後、安楽死措置を講じ、両側腎動脈摘出する。病理学的検討によって、焼灼層の広がりおよび、深達度の評価を行う。これらの実験を3頭に対して実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた心不全に対する腎動脈交感神経焼灼術を実施予定であったが、その前に腎動脈焼灼による急性期、慢性期の生理学的、病理学的評価が必要となったため、今回の科学研究費助成事業で日常臨床で使用する心筋焼灼用カテーテルを用いて腎動脈焼灼術を実施した。現在までに焼灼後6か月後の慢性期の実験を実施し、ブタを安楽死させ、病理学的評価を実施するため、病理標本の作製中であり、おおむね研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は腎動脈焼灼術後の病理学的評価を行い、腎動脈における焼灼術後の病理学的変化の観察を実施し、著しい不可逆的変化がないかどうかについてを検討する。また、腎動脈の外周に存在する神経鞘においても変性等の有無を観察する。その結果に基づき、別の研究資金を調達し、ブタ心不全モデルを作成し、腎動脈焼灼術による心筋保護効果を検討する
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度において、焼灼後6か月後の慢性期の実験を実施し、ブタを安楽死させ、病理学的評価を実施するため、病理標本の作製を行い、本技術の有用性評価を病理学的見地から実施し、腎動脈焼灼術の至適エネルギーおよび至適時間の検討を行う予定。
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