平成25年度の研究実施計画は、ブタ左右腎動脈内に焼灼を実施し、6か月後の腎動脈および腎動脈周囲の傷害の程度を腎動脈造影および病理学的に評価を行うことである。また、腎動脈周囲の交感神経の傷害の程度を生理的に評価するために昇圧反応の有無からアデノシン(一般名:アデノシン三リン酸二ナトリウム)の至適投与量および投与方法の検討を行うことである。 これらを評価、検討するために、2頭のブタ腎動脈に対して、麻酔下に心臓用の不整脈焼灼カテーテルを用いて1頭目右腎動脈に12時方向を6W1分間、左腎動脈に12時方向を4W1分間、2頭目右腎動脈6時方向4W1分間、左腎動脈6時方向6W1分間にそれぞれ焼灼を行った。2頭とも左右腎動脈の近位部と遠位部に焼灼を行った。左右両腎動脈にアデノシンの急速動脈投与および、アデノシンの持続投与を焼灼6か月後にそれぞれ実施した。すべての手技が終了後、ブタを安楽死させ、腎動脈を摘出し、長軸方向に切開し、焼灼部位周辺部を組織固定した。6か月後、腎動脈造影上、いずれの血管においても狭窄像を認めなかった。ブタを安楽死させた直後に採取した腎動脈において、マクロ像として焼灼部位が白く瘢痕化していた(n=1)。組織標本については現在、作成中のため、今後評価予定。アデノシン10mgをゆっくりまたは急速に腎動脈内投与したところ、10秒後に5秒程度の昇圧反応が観察された。この反応は5mg、20mgの急速腎動脈内投与でも観察された。40mgを腎動脈内に急速投与すると5秒後に昇圧反応が観察されたが、その後、徐脈が出現。心臓に同薬剤が到達したために生じたと考えられた。2頭目の豚ではすべての用量においても昇圧反応は観察されなかった。両腎動脈ともアデノシン1γの持続投与により8分後より7~10mmHg程度の昇圧が観察されたが、アデノシン投与中止後も血圧は低下しなかった。
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