研究課題
基盤研究(C)
GST融合蛋白を用いたAGS8のGβγ作用部位の同定:AGS8の各領域をGST融合蛋白として大腸菌で作製し、精製Gβγと直接結合するかをpull-down assayで検討した。AGS8は200kdに及ぶ蛋白であるので、大腸菌内で生成されやすい30-40kdの大きさに6分割し、それぞれの小部分をGST融合蛋白として作製した。6つのGST融合蛋白はどれも大腸菌内で合成可能で、可溶化蛋白として精製することができた。これらを用いてGβγサブユニットが結合する部分をGST pull-downアッセイ法を用いて検討したところ、AGS8の中間部とC端にGβγサブユニットが結合することが明らかになった。しかし、AGS8中間部のGβγサブユニット結合部は細胞に導入しても、G蛋白シグナルを惹起しなかった。他方、AGS8-C端のGβγサブユニット結合部は細胞内シグナルを惹起することがすでに明らかになっている(Sato M, et al. J Biol Chem. 2009;284:31431.)。そこで、以後の研究はAGS8のC端部位に注目しこの部分をさらに5分割しそれぞれの小部分をGST融合蛋白として作製した。5つのGST融合蛋白はどれも大腸菌内で合成可能で、可溶化蛋白として精製することができた。再度、GST pull-downアッセイ法を用いてGβγサブユニット結合部分を検討したところ検討したところ、Gβγサブユニット結合部分は11-17kd(100-150アミノ酸)程度の範囲に絞ることができた。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度当初に予定した計画はすべて達成することができた。GST蛋白質は大腸菌内で生成されない、あるいは可溶化されない場合があるが、今回のGST蛋白はすべて順調に作製することができた。また、作製蛋白を用いたpull-down assayによるGβγサブユニット結合部分の同定も明快な結果が得られている。
AGS8上のGβγ結合部位の特定とAGS8-Gβγ相互作用阻害ペプチド(AGS8関連ペプチド)の開発1.AGS8-Gβγ相互作用を抑制するペプチドの同定:平成24年度の検討で同定された、AGS8-Gβγ相互作用部位のアミノ酸配列に基づくペプチドを複数作製し、in vitro pull-down assayでAGS8とGβγサブユニットの相互作用を阻害するか検討する。作製するペプチドは比較的安定して合成可能な30アミノ酸以下のものを予定している。これにより、AGS8上のGβγ相互作用部位を30アミノ酸程度に限定することが可能になると予想する。2.AGS8-Gβγ相互作用を抑制する効率的なペプチドの作製:上記実験で同定した複数のペプチドを検討し、より強い阻害作用を持つものを見出す。さらに得られたペプチドを基に、細胞内への導入が有利なより短いペプチド(20アミノ酸程度)を作製し、これのAGS8-Gβγ相互作用阻害効果を検討する。
本年度は研究実績に記載したとおりGST融合蛋白の作製が順調に進み、合成部位を変更しての再合成等が非常に少なかったため、合成に要する費用が軽減した。また、精製Gβγサブユニットを用いたGST pull-downアッセイも明快な結果が得られたため、試行回数が当初予定より少なくて済み、結果として精製Gβγサブユニットの購入量が少なくなり、これに要する費用が軽減した。助成金は平成25年度分と合わせて、ペプチド合成に使用する予定である。今後の研究の推進方策に記載したペプチド合成は試行錯誤の部分があり、この部分に助成金を注力する。
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