研究課題/領域番号 |
24590282
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中島 謙一 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40398392)
|
研究分担者 |
丸中 良典 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (00127036)
新里 直美 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (00237645)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | クロライドイオン / 低分子量Gタンパク質 / 神経細胞 |
研究概要 |
近年、我々は細胞内クロライドイオンが、細胞増殖や細胞周期、神経分化など様々な細胞機能を調節していることを明らかにしてきた。また、我々の予備的な実験を含め、クロライドイオンがGタンパク質やなどのGTPase活性を制御しているという興味深い知見を得ている。一方、神経細胞における細胞死に、低分子量Gタンパク質Cdc42が関与することが知られている。細胞内のクロライドイオン濃度は、Na^+-K^+-2Cl^-共輸送体(NKCC)による取込みと、K^+-Cl^-共輸送体(KCC)やクロライドチャネルなどによる排出によりコントロールされている。生体内において、組織損傷により引き起こされる局所的なカリウムイオン濃度の上昇が、これらのクロライドイオン輸送体活性に影響を与え、その結果低分子量Gタンパク質の活性を制御し、神経細胞における細胞死が抑制されうるかを検証した。 (1)PCI2細胞を高カリウムイオン濃度の培養液で処理した際の細胞内クロライドイオン濃度を、クロライドイオン感受性蛍光色素MQAEを用いて測定した。その結果、細胞外カリウムイオン濃度上昇により、細胞内クロライドイオン濃度は上昇した。これは細胞外カリウムイオン濃度の上昇により、KCC活性が抑制されたことによるものと考えられた。(2)高クロライドイオン濃度の溶液で処理することで、不活性化型Cdc42の割合が増加した。これはクロライドイオンによりCdc42のGTPase活性が上昇したことによるものと考えられた。(3)PC12細胞を高カリウムイオン濃度の培養液で処理し、細胞内クロライドイオン濃度が上昇した際に、細胞にCoCl_2処理(細胞内に活性酸素種を発生させる)を行うと、コントロール条件に比べ、死細胞の割合が低かった。 これらの結果より、細胞外カリウムイオン濃度の上昇により、クロライドイオン輸送体(KCC)の活性が抑制されて細胞内クロライドイオン濃度が上昇し、不活性化型Cdc42タンパク質が増加して、細胞死が抑制されうることが示唆される。
|