研究課題/領域番号 |
24590286
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
秦 喜久美 東京医科大学, 医学部, 講師 (30287156)
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研究分担者 |
高田 栄子 東京医科大学, 医学部, 講師 (50110903)
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キーワード | PRMT1 |
研究概要 |
PRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスとPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)の免疫応答の違いをみるために、NP-OVA/Alum、NP-FicollまたはNP-LPSで刺激後、NP特異的抗体をELISA法にて測定した。NP-OVA/Alumで免疫後、NP特異的IgM抗体及びIgG抗体は、PRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスとPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)マウスで差がみられなかった。NP-FicollまたはNP-LPSで刺激後、NP特異的IgM抗体及びIgG3抗体はPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)マウスで有意に減少していた。PRMT1はT細胞依存性の抗体産生には影響しないが、T細胞非依存性の抗体産生に何らかの役割を果たしていると考えられた。 B細胞の活性化について詳しく解析するために、両マウスからsplenic B細胞を調整して、in vitroで刺激したところ、カルシウムの取り込みやactivation markereの発現に差は見られなかった。CFSEでラベルし分裂回数をFACSで測定したところ、PRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)マウス由来のsplenic B細胞は、PRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスよりも分裂せず、また細胞数も減少していた。 以上の結果より、PRMT1は抗原刺激後のB細胞の増殖に関与しているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスとPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)では、T細胞依存性抗体産に差がないにもかかわらず、T細胞非依存性抗体産生にはPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)で顕著に減少しており、PRMT1がT細胞非依存性抗体産生に何らかの役割を果たしていることが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、PRMT1がT細胞非依存性抗体産生に何らかの役割を果たしていることが明となった。T independent antigen type IIでの抗体産生は、NKTまたはDCがヘルプしている。そこでCD1dの発現や抗原提示能について解析を進める。 PRMT1はprotein arginine methyltransferaseである。PRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスとPRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)マウスでメチル化の差を、メチル化アルギニンに対する抗体を使用して検出する。 B細胞特異的PRMT1マウスの解析は以上の結果をもって論文にまとめる。 T細胞特異的にPRMT1を欠損したマウスPRMT1(flox/flox)Lck-creを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PRMT1(flox/flox)CD19(cre/+)とPRMT1(flox/flox)CD19(+/+)マウスの免疫応答をみるために、NP-OVA/Alum、NP-FicollまたはNP-LPSで刺激をNP特異的抗体の産生をELISA法で測定する実験で、予定していたほどのマウスを使用せず結果を得ることができた。それで、マウスの飼育代やELISAで使用する試薬や器具類を消費しなかったためである。 実験用マウスとして年間50匹使用予定である。このマウスの購入及び飼育代として約40万円。細胞培養等に必要な実験用器具類(チップ、チューブ、培養フラスコ等)として約40万円。細胞表面マーカーの測定に必要な蛍光抗体、細胞を刺激するための試薬、細胞を分離してくるのに必要な試薬等、一般試薬酵素類として約40万円。最終年度の研究成果発表のための旅費として約20万円、論文の作成費用として約20万円をそれぞれ使用予定である。
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