研究課題/領域番号 |
24590290
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
坂田 進 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20142383)
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研究分担者 |
西井 康恵 畿央大学, 健康科学部, 助手 (50461207)
中谷 昭 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70116284)
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キーワード | 2型糖尿用 / 自発的運動 / OLETF / 長寿遺伝子 / 心機能 / アディポサイトカイン / インスリン / 運動パフォーマンス |
研究概要 |
2型糖尿病モデルラットOLETF(5週齢)を16ヶ月間に亘り回転カゴ付き飼育ケージ(OLETF回転群)にて飼育したところ、これまでに下記の研究成果が得られた。対照群として、標準飼育ケージで飼育されたOLETFラット(OLETF標準群)とLETO ラット(LETO群)を用いた。 1)糖尿病の発症抑制について・・・ OLETF回転群の血糖値とHbA1cは正常値であり、糖負荷実験の血糖値時間曲線下面積もLETO群と差がなかった。2)心不全の発症抑制について・・・糖尿病のOLETF標準群において、超音波画像解析により左室弛緩機能の低下が明らかになった。一方、OLETF回転群では、この左室弛緩機能の低下が見られなかった。3)腎不全の発症抑制について・・・OLETF標準群においては、尿量増加・尿中蛋白質/アルブミン増加・尿中尿細管障害マーカーの増加および血中尿素窒素増加・クレアチニン増加が見られた。一方、OLETF回転群では、これらの全ての値はLETO群に近いものであった。4)学習記憶能について・・・回避型学習を施した後50日目で、血中アミロイドβが増加しているOLETF標準群は学習記憶を保持していなかったが、OLETF回転群は学習記憶を保持していた。5)運動パフォーマンスについて・・・持久的運動能の測定・握力測定・金網ぶら下がり試験を行ったところ、OLETF標準群・OLETF回転群・LETO群の順番で運動パフォーマンスが高かった。6)骨微細構造について・・・大腿骨と腓骨における骨微細構造をCTスキャン画像解析にて調べた結果、OLETF標準群の腓骨の骨微細構造に明らかな変化が認められた。7)遺伝子発現について・・・骨格筋での遺伝子発現をDNAマイクロアレイ法により調べた。OLETF回転群において、糖尿病関連遺伝子1428個の内25個の遺伝子の発現に変化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に計画した測定(血液成分の測定、心臓・骨格筋の組織学的解析、内臓脂肪量の測定、骨格筋中のGLUT4の測定、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析)を終え、得られた測定データを解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの達成度」で記載した測定に加えて、「骨格筋中の酵素活性の測定」、「ELISAによるアディポサイトカイン等の測定」、「骨格筋・心筋中のSERCA等の発現量の解析」、「骨格筋中のインスリン受容体発現量の解析」、「腎・膵臓の組織解析」などを行う予定である。さらに、「長寿遺伝子の発現量」と「心機能」・「腎機能」・「運動パフォーマンス」等との間に何らかの関係があるのか、について検討する。また、全データ解析を行った後に、成果をまとめて、学会発表と論文作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入する予定の「化学発光ゲル撮影装置」は高価(約200万円)であったが、使いやすく安価なゲル撮影装置(約40万円)が発売されたので、この安価な撮影装置を購入した。そのため、この繰越金が生じた。 この繰越金も含めた交付金を用いて、様々な測定のための試薬・キット・実験消耗品などを購入する予定である。また、学会出張旅費や学会誌投稿料も支出する予定である。
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