研究課題/領域番号 |
24590292
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
中條 浩一 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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キーワード | イオンチャネル / カリウムチャネル / 蛍光イメージング / FRET / KCNQ1 / KCNE1 / 全反射蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
KCNQ1の性質はKNCE1が結合することによって、大きく変化する。そしてKCNE1の結合数は、KCNQ1とKCNE1の発現密度に依存して変化することから、細胞膜上での結合解離の可能性が示唆され、それを明らかにすることが本研究の目的である。 昨年度までに作成したタンデムコンストラクトを使用することでFRET解析を行う予定であった。しかしながら、FRETがおきるようなタンデムコンストラクトはこれまでのところできていない。全反射蛍光顕微鏡下でかつ膜電位固定時にFRETと電流を同時測定することが、KCNE1の結合解離を測定するためにはもっとも直接的な証明にはなるが、今後はこれまでに当研究室で実績のある一分子イメージング法なども併用することで、KCNQ1とKCNE1の間のダイナミクスを検討していく予定である。そのためのコンストラクトはすでに作成済みである。 またKCNQ1はKCNE1が結合することにより、電位依存性が脱分極側に大きくシフトし、非常に開きにくいチャネルに機能修飾される。本研究によって、KCNQ1のS4セグメント上とS5セグメント上に存在する2つのフェニルアラニン残基が、KCNE1によるKCNQ1の電位依存性のシフトに大きな役割を果たしていることを見出した。これらのアミノ酸あるいは近傍のアミノ酸がKCNE1と直接相互作用している可能性が高く、来年度以降検討していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたFRETの実験に関しては、コンストラクトの作成などの点から、若干の遅れが生じているが、その一方で、KCNE1の機能修飾に重要なKCNQ1上のアミノ酸残基を発見するという、非常に新しい知見を得ることに成功した。総合的にはおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って全反射蛍光顕微鏡下でのFRET実験を引き続き実施していく。FRETを効率よく起こすコンストラクトの作成が課題になる。その一方で、当初の計画にはなかったが、全反射蛍光顕微鏡を用いた一分子イメージング法を適用する予定である。一分子レベルでのKCNQ1とKCNE1の挙動を解析することで、両者の結合解離に関する情報が得られると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
FRETコンストラクトが順調に作成された場合、440 nmのダイレクトダイオードレーザーを購入する予定であったが、コンストラクトの完成が次年度に持ち越されたため、レーザーの購入も1年遅らせることとした。 FRETコンストラクトが完成すれば、440 nmのダイレクトダイオードレーザーを購入する。そのほかその光生理学実験の試薬、一分子イメージング用の部品、消耗品等を購入する予定である。学会発表の旅費、論文出版のための費用にも使用を予定している。
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