研究課題/領域番号 |
24590298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 啓之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80145044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前庭-血圧反射 / 前庭系の可塑性 / 宇宙飛行 / 微小重力 / 過重力 / 血圧調節 / 前庭電気刺激 |
研究概要 |
宇宙飛行士を被験者とした研究:ヒューストンのJohnson Space Centerにおいて,宇宙飛行前後に,Head-up tilt (HUT)実験を行い,HUT時の血圧調節における前庭-血圧反射の関与を調べた。1名の宇宙飛行士においては,飛行前,4ヶ月の宇宙飛行から帰還後1日,2週間,2ヵ月のデータが取得できた。もう1名の宇宙飛行士においては,宇宙飛行前のデータを取得した(飛行後のデータ取得は平成25年5~7月の予定)。宇宙飛行前には,前庭-血圧反射が働いて,HUT時の血圧が維持されていた。しかし,帰還直後には前庭-血圧反射が全く働かなくなっていた。前庭-血圧反射の機能は,帰還後2カ月で,元のレベルにまで回復した。前庭-血圧反射機能の低下およびその回復過程は,宇宙飛行士の〝フラツキ"の自覚とその回復過程とよく一致していた。 ラットを用いた研究:異なる重力環境下で生活すると引き起こされる前庭機能の低下が,外部から前庭系を電気刺激することにより予防できるかどうかを調べた。ラットを2週間3 gの過重力環境で飼育する前後で,ロータロッド試験を行い,前庭系を介する運動機能を評価した。過重力負荷により,ロータロッド上の歩行時間が有意に減少した。この減少は,過重力環境下で飼育中に,前庭系を電気刺激することにより有意に回復した。この実験結果は,微弱な電流で間欠的に前庭系を刺激することにより,前庭系の機能低下が予防できる可能性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙飛行士の実験時間は厳密に管理され,また多くの実験申し込みがあるため,宇宙飛行士の同意を得るために激しい競争がある。その中で,初年度は,1名の宇宙飛行士の飛行前後のデータ取得が完了した。また,もう1名の宇宙飛行士については,飛行前のデータが取得できた。この宇宙飛行士の飛行後のデータは平成25年度に取得完了予定である。さらに,新たに2名の宇宙飛行士が我々の実験に同意した。これらの宇宙飛行士については,平成25~26年度にかけて実験する予定である。従って,宇宙飛行士を被験者とした研究は,概ね予定通りに進展していると判断できる。 ラットを用いた研究では,前庭系を外部から微弱な電流で間欠的に前庭系を刺激することにより,前庭系の機能低下が予防できる可能性が示された。今までにない新たなカウンターメジャーとして,今後この研究が進展する可能性がある。従って,動物実験についてもほぼ予定通り順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙飛行士を被験者とした研究:残りの2年間で,n=6を達成できるように努める。そのためには,JAXA所属の宇宙飛行士だけでなく,NASA,ESA所属の宇宙飛行士に対しても積極的に広報して,参加を募る必要がある。 ラットを用いた研究:前庭機能低下に対する新しいcountermeasure提唱のために,最適刺激パターンを確定する。また,異なる重力環境下で飼育した後,1 g環境に戻すと,前庭機能が低下する機序を調べるため,重力変化に対する中枢応答,前庭神経核でのglutamate receptor,GABA receptor発現などを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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