研究課題
宇宙飛行士を被験者とした研究:HoustonのJohnson Space Centerにおいて,国際宇宙ステーション(ISS)に4-6ヵ月間滞在した前・後(宇宙飛行2ヵ月前,帰還直後1-2日,2週間後,2ヵ月後)にHead-up tilt(HUT)実験を実施し,起立時の血圧調節における前庭-血圧反射の関与を調べた。Galvanic Vestibular Stimulation (GVS)で前庭系からの入力をマスクして前庭-血圧反射が起こらないようにした状態での血圧応答と,GVSがない状態での血圧応答の差により前庭-血圧反射の大きさを評価した。ISS滞在前には前庭-血圧反射により12±2 mmHgの昇圧がみられ,HUT直後の血圧は維持されていた。しかし,帰還直後及び2週間後には前庭-血圧反射は全く働かなくなり,HUT直後に血圧が低下した。帰還2ヵ月後には前庭-血圧反射により10±4 mmHgの昇圧がみられるようになった。以上の結果から,4-6ヵ月の宇宙滞在により,前庭系の機能が低下し,起立時に前庭-血圧反射が起こらなくなって血圧が低下することが示された。この前庭機能の低下は,帰還後2ヵ月をかけて徐々に回復してくることが分かった。動物実験:平成27年度にISS内に設置予定の短腕遠心機内でマウスを飼育する影響を調べるため,岐阜大学に設置した短腕遠心機と長腕遠心機で1.4 G環境を作成し,その中でマウスを飼育して効果を検証した。1.4 G飼育開始直後に摂食・摂水量は大きく減少し,3日目には前値に戻った。これに伴い,4週間の飼育後には体重は1 G群と比べて1.5 g減少した。また,前庭神経核でのグルタミン酸受容体の発現量は80%に減少した。これらの応答に短腕と長腕間に差はなかった。以上の結果から,短腕遠心機も長腕遠心機と同様重力負荷装置として小動物の飼育が可能であることが示された。
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