研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、申請者らが開発した独自のシステムを駆使して①モデル細胞として乳ガン細胞のタンパク質を分離精製後、正常細胞に導入し、ガン化のマスターシグナル伝達分子を解明するシステムを確立する。②難治性乳がんの臨床分離細胞を用いて実際にガン化制御するマスター分子を同定する。③質量分析計を用いて同定されたシグナル分子の翻訳後修飾を解明し、ガン化のメカニズムを明らかにすることである。(実験の概要)目的①を達成するため、子宮頸がん細胞HeLaをDMEM培地で大量培養し、培養細胞を0.1%のTriton-Xを含む緩衝液を加えた後、超音波破砕機で細胞を溶解する。その後、遠心分離を行い、上清の細胞可溶化液を回収した。タンパク質をFPLC(Bio-CAD現有)に大量精製用の陰イオン交換カラムIon-Trap(GEヘルスケア)をアプライし、タンパク質分画を分離した。この分離タンパク質をこれまでに確立した手法に従い、正常子宮上皮細胞に導入したが、有意な表現型の変化は顕微鏡下では観察されなかった。このため、細胞の表現型の変化を高感度に観察できるシステムを確立するため、細胞ミトコンドリア膜電位の活性をハイスループットで測定できるシステムを検討している。また、同時に細胞数を検定できるように核染色試薬を自動分注装置で測定し、ミトコンドリア活性と同時測定するシステムを検討している。現在のこのシステムをINCELLアナライザーで高速蛍光画像を取得できるようになり、再度蛋白導入実験を再開する予定である。
3: やや遅れている
細胞活性の測定システムが十分に機能せず、測定ができなかった。予想外に活性が低い可能性があり、導入タンパク量の検討や測定システムの検討が必要である。
さらに大量の蛋白をカラムにかけ、精製する。また、高感度な検出システムを検討し、シグナル分子を検出できるようにする。
研究途中で予想外に検出感度が低いことが判明した。このため実験を中断し、条件検討をやり直した。このため432,859円の未使用額が発生した。この未使用額については平成25年度の実験試薬の購入に充てる予定である。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Gene
巻: 501 ページ: 95-105
10.1016/j.gene.2012.04.029. Epub 2012 Apr 16.