研究課題
本研究では元来個体に備わる復元力あるいは回復力(レジリエンス)を生かし、如何にこれらを高めて精神疾患予防や治療につなげられるかを目的として検討を開始した。平成24~25年度では、遊具を備えた豊かな環境下で3週間飼育すると、統合失調症様行動障害が有意に緩解することや、エピジェネティックな変化について明らかにしてきた。豊かな飼育環境の中でも回転かごの利用率が高かったことから、回転かごのみを設置したケージ内で正常マウスを3週間飼育し、その後前頭皮質で高発現する分子についてDNAアレイ解析した。すると、約100種類の分子が2倍以上に増加していた。最終年度(平成26年度)は、高発現していた内因性オピオイドペプチドの活性断片dynorphin A (1-17) を脳室内に注入し、ストレスに対する作用について検討した。ddY系雄性マウスへの注入30分後に電気刺激(0.6 mA, 2 sec)を負荷し、レバー押しによる回避反応を評価した。その結果、溶媒投与群では電気刺激によってレバー押し反応が減少したが、dynorphin A (1-17) の高用量投与群ではその減少が有意に抑制された。また、こうした反応には、扁桃体のセロトニン神経系が関与していることも分かった。従って、豊かな環境下での飼育、特に回転かごなどで運動活性を高めることによって脳内のdynorphin Aの発現を誘導することができれば、ストレス性疾患の予防につながる可能性が示唆された。
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