研究課題/領域番号 |
24590305
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
細野 剛良 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (60294104)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 新生児低酸素虚血脳障害 / 高体温 / ラット / 運動能力 / 知能 / 時系列 |
研究概要 |
本研究は、新生児に発症し知能・運動能力の遅滞を来たす高体温低酸素虚血脳障害(HIE)の動物モデルの詳細を明らかにし確立することを目的とする。2012年度は、以下の内容の成果を得た。 1.モデル動物の作成:麻酔下に7日齢ラットの左総頸動脈の結紮・切断の後に、ついで、酸素8%・環境温40℃(15分)の新生児高体温低酸素虚血脳障害動物(ラット)モデル(HIE群)を作成した。この際に、低酸素虚血脳障害時間を20分または30分に延長した少数の群、また健常対照群を作成した。作成後は母獣に戻し哺育させた。モデル動物の作成は、特に困難なく実施できた。 2.行動実験:4週齢のロータロッドテスト、8週齢のステップダウン型受動回避テストを実施した。ロータロッドテストでは、15分以上低酸素高環境温においた群では、有意に回転するロータ上に滞在する時間が短縮した。ステップダウン型受動回避テストでは、15分以上低酸素高環境温においた群では、嫌悪刺激を回避するまでのプラットホーム滞在時間が短縮した。これらより、15分以上の低酸素高環境温におくと、運動および記憶能力の点で障害が顕在することが判明した。 3.組織学的検討:8週齢ラットにおいて、深麻酔下に脳を灌流・摘出し、パラフィン包埋組織標本を作製した。これらにヘマトキシリンエオシン染色の他、microtubule associated protein 2 (MAP-2)染色を行った。MAP-2染色では、15分の低酸素高環境温においた群において、神経細胞数の減少が記録できた。 4.実験装置の改良:行動実験を行う実験装置において、機器操作の一部の自動化や、ビジュアルレコーダなどの使用による実験の効率化の試みを行い、一部で実験操作の簡略化ができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルの作成、主たる行動実験(ロータロッドテスト、ステップダウン型受動回避テスト)の実施が行え、組織学的検討についても、初期データを得ることができた。ビジュアルレコーダその他の導入による実験装置の改良・向上に着手できた。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には申請時の計画に準拠して研究を進める。 1.モデル動物の作成:新生児高体温低酸素虚血脳障害動物(ラット)モデルを作成するが、手術操作の所要時間を短縮するように努める。状況により、操作に熟練した補助員(アルバイト)を雇用すると共に手術の指導・助言を受ける。さらには、体温対照群(酸素8%・環境温37℃(15分))、虚血対照群(左頸動脈の結紮を行わずに酸素8%・環境温40℃(15分))についても、検討を開始する。 2.行動実験:ロータロッドテスト、ステップダウン型受動回避テストは予定通り実施する。ロータロッドテストについては、さらに低週齢にても実施できる可能性があるので、それらについても実施する。3~5週齢の行動実験として、傾斜板テスト、懸垂棒テストを実施する。 3.組織学的検討:ヘマトキシリンエオシン染色、MAP-2染色に加えて、 MBP(myelin basic protein)染色も実施する。 4.実験装置の改良:さらなる実験装置の改良・自動化を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費は申請時の計画のごとく実験用動物の購入、実験用ディスポーサブル製品・ガラス器具、薬品、ガス(8%酸素、92%窒素)の購入にあてる。中間成果の研究発表・情報収集は、年度の後半に1回以上の海外(未定)あるいは国内学会(日本生理学会大会)への参加を行う予定である。主として動物モデルの作成に実験補助員(アルバイト)の雇用も予定している。
|