研究課題/領域番号 |
24590305
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
細野 剛良 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (60294104)
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キーワード | 新生児低酸素虚血脳障害 / 高体温 / ラット / 運動能力 / 知能 / 時系列 / 組織染色 |
研究概要 |
本研究は、新生児に発症し知能・運動能力の遅滞を来たす高体温低酸素虚血脳障害の動物モデルの詳細を明らかにし確立することを目的とする。2013年度は2012年度の成果から続けて、以下の内容の成果を得た。 1.モデル動物の作成:昨年度の作成経験に基づき、新生児高体温低酸素虚血脳障害動物(ラット)モデルを効率よく作成できた。これらを用いて、行動実験・組織学的検討を行った。 2.行動実験:ステップダウン型受動回避テスト実験装置において、本装置に接続していた刺激機器では嫌悪体験刺激強度の調節の定量性に欠くことが判明したため、保有していたステップスルー型受動的回避学習実験装置の刺激機器と接続する新たなステップダウン型受動回避テスト実験ボックスを作成した。この結果、より精度の高い実験の実施が可能になった。ロータロッドテストでは、昨年と同様に実施したが、モデル動物の歩行運動の様態の側面姿勢の観察に困難があったため、ロータロッド実験装置の側面を透明アクリルフランジを用いて観察することも可能にした。またモデル動物に事前に摂食制限処置(飲水自由)を行うと、高体温低酸素虚血群では、ステップダウン型受動回避テスト、ロータロッドテストのテスト成績が悪化する傾向にあることを新たに見出した。 3.組織学的検討:前年と同様に、深麻酔下に脳を灌流・摘出し、パラフィン包埋組織標本を作製した。これらにヘマトキシリン・エオシン染色を実施した。これらの顕微鏡標本画像のパソコンへの取り込み装置の劣化があったため、新たな取り込み装置に更新し、良好な画像が得られた。このほか、神経細胞の染色に有効なクリューバー・バレラ染色の染色系を確立し、これらによる染色も、おおむねうまくいっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.モデル動物の作成:新生児高体温低酸素虚血動物モデルの作成はほぼ確実に実施可能になり、当施設の状況に合わせて効率よいモデルの作成系の確立ができている。 2.行動実験:主たる行動実験(ロータロッドテスト、ステップダウン型受動回避テスト)の実施が行えている。2012年度に予備的成績が得られていたが、2013年度にはモデル動物の摂食制限処置により、高体温低酸素虚血脳障害群と対照群の間の差異をより明確にできることが判明している。精度向上のために整備する点のあった実験機器の改良も達成できている。 3.組織学的検討:ヘマトキシリン・エオシン染色、クリューバー・バレラ染色法については、ほぼ確立できた。免疫組織染色については、旧知の研究者の指導を受け染色そのものはできているが、所属施設内のみでの染色手法の確立はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には申請時の計画に準拠して研究を進める。 1.モデル動物の作成:新生児高体温低酸素虚血脳障害モデルの手術操作の所要時間を短縮する。研究期間も考慮して、高体温低酸素虚血群と対照群について検討する。 2.行動実験:ロータロッドテスト、ステップダウン型受動回避テストは改良された機器を用いて予定通り実施する。実施が容易な実験として3~5週齢の行動実験として、傾斜板テストも実施する。 3.組織学的検討:ヘマトキシリンエオシン染色、クリューバー・バレラ染色に加えて、 免疫組織染色としてMAP-2染色を実施する。 4.成果発表:2014年度前期に、神経科学関係の関係にて成果発表し、最終的な研究のまとめに向けてレビューを受ける。周産期医学関連の学会にての成果発表も実施する。2014年度末には、論文投稿を行うように準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織染色の実施ができず、その関連の薬品の購入がなかったため。 2014年度の物品費に加算し、免疫組織染色関連の薬品費として使用する。
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