【平成26年度の研究実績の概要】動物モデルの脳のパラフィン包埋薄切標本にクリューバーバレラ染色を行い、海馬CA1領域面積を評価した。ステップダウン型受動回避テスト、ロータロッドテストの成績を総合し、統計解析した他に、より幼若期に運動能力を評価できる懸垂テスト、傾斜板テストを実施し、新たな評価法としての可能性を見出した。 【全期間の研究実績の概要】本研究は、知能・運動能力の遅滞を来す新生児高体温低酸素虚血脳障害の動物モデルの運動・知能を成長の時系列に併せて明らかにし、モデルとして確立することを目的として実施した。日齢7のWistar新生仔ラットの左総頸動脈の結紮・切断後、酸素8%、環境温度40℃の15分の高体温低酸素虚血脳障害を与え、高体温低酸素虚血脳障害のラット・モデルを作成した。成長後、6週齢から時系列的に、ステップダウン型受動回避テスト、ロータロッドテストを実施した。ステップダウン型受動回避テストでは、嫌悪体験記憶後の回避時間、ロータロッドテストでは回転するロッド上の滞在時間を測定した。いずれも、脳障害モデル群においては対照群に比して、行動試験の成績が有意に悪化することを示した。さらに、行動実験後に深麻酔下に脳を摘出し、解剖学的評価として対照側大脳半球に対する障害側の最大大脳幅を評価するbrain width indexを測定した。また、脳薄切パラフィン包埋標本のクリューバーバレラ染色標本を作製し、画像処理によって対照側と障害側の海馬CA1領域面積を測定した。いずれのパラメータにおいても、脳障害モデル群においては、対照群に対して大脳半球幅や海馬面積の縮小がみられることを示した。高体温新生仔低酸素虚血脳障害のラット・モデルを作成し、その成長につれて時系列的に実施する容易な行動実験によって脳障害の程度を評価する方法を確立できた。最終成果は国際学術誌に投稿中である。
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