交感神経が興奮すると卵巣血流が抑制される.この交感神経性の卵巣血流反応及び卵巣ホルモン分泌機能に対するエストロゲン慢性投与の影響をラットで調べた.エストロゲン慢性投与(28日間)により,性周期が停止し,性周期に伴う卵巣エストラジオール分泌変動が停止した.更に交感神経興奮時の卵巣血流の抑制が起こりにくくなった.このエストロゲン作用は,交感神経の高頻度刺激(20Hz)ではなく低頻度刺激(2Hz)に対する血流抑制反応に対して有意に認められた.交感神経の安静時活動頻度が一般に1-3Hzであることから,エストロゲンの慢性的増加は,安静時において交感神経の血流抑制作用を減弱していると考えられる.
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