研究課題/領域番号 |
24590310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古川 賢一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20165468)
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研究分担者 |
大島 吉輝 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00111302)
小野 睦 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40400155)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 異所性骨化 / 間葉系幹細胞 / 脊柱靭帯骨化症 / セルソーティング |
研究概要 |
平成24年度の研究計画に挙げた主な目標は、1)間葉系幹細胞の脊柱靱帯組織における存在証明、2)疾患組織由来の間葉系幹細胞の易石灰化能の証明であった。 まず1)について。手術時に摘出したヒト脊柱靭帯組織を、コラゲナーゼ処理して細胞を単離した。その細胞を、間葉系幹細胞に特異的な細胞表面マーカー3つに対する抗体で染色し、それを元に細胞をセルソーターで分離したところ、3つのマーカーを共発現している細胞が得られた。その細胞を1個ずつ培養ディッシュに撒くと、増殖してコロニーを形成した。その増殖した細胞はやはり、間葉系幹細胞に特異的な細胞表面マーカー3つを共発現していた。以上の結果から、この細胞は間葉系幹細胞のMinimum Criteria(自己再生能、高い増殖能、特異的細胞表面マーカーを発現)を満たす細胞であることが確認できた。 次に2)について。非骨化靭帯組織(ヘルニア等)と、骨化靭帯組織(脊柱靭帯骨化症OPLL)から同様にして単離した間葉系幹細胞を培養し、骨化誘導刺激を加えたところ、後者の細胞が前者に比べて著明な石灰化を起こした。 以上のことから、OPLL患者の靭帯組織に存在する間葉系幹細胞が、間違った分化を起こして(靭帯細胞ではなく、骨芽細胞様細胞に分化して)、異所性の骨化を起こすという我々の仮説を支持する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画に掲げた他の2つの目標、3)間葉系幹細胞の局在の解析、4)骨化、石灰化を抑制する薬物の探索については、進行中である。 3)については、靭帯組織に間葉系幹細胞の特異的細胞表面マーカーを共発現している細胞の存在が、免疫組織化学的に証明できた。現在はその局在に非骨化および骨化の組織間で違いがあるかどうか検討を進めているところである。 また4)については、培養細胞による易石灰化モデルを用いたアッセイ系を確立できた。それを用いて化合物ライブラリーから、骨化・石灰化に影響を与える物質のスクリーニングを開始した。 目標の1)、2)は完了し、3)、4)は着手、進行中であることから、達成度を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度、着手し進行中である目標の3,4に注力し、進めていく予定である。 また25年度以降の目標とした、発症に深く関与していると考えられるエピジェネティックな機序の解明に、着手したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織化学的手法により、間葉系幹細胞の局在を非骨化および骨化組織で比較し、その差から骨化の機序を明らかにしたい。そのため免疫組織化学に用いる多種類の特異的抗体の購入が中心になる。 また、得られた結果を海外に発信するため、海外の骨代謝関係の学会への参加の費用にも当てたいと考えている。
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