研究課題/領域番号 |
24590312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
石川 良樹 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (20212863)
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研究分担者 |
中村 彰男 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30282388)
本多 元 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (20192742)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ミオシン / アクチン |
研究概要 |
モータータンパク質ミオシンはアクチン繊維をレールとして滑り運動を行い,細胞における主要な力発生原となっている。アクチン繊維は細胞内で種々のアクチン結合タンパク質と結合し、ストレスファイバー、接着版、フィロポディア、ラメリポディア等、さまざまな高次構造複合体を取る。我々は高次構造精製蛋白質の再構成系を用いて、アクチン結合タンパク質がミオシン滑り運動に影響を及ぼす事を報告してきた。本研究では、アクチン高次複合体の単離及び細胞モデルを利用して、再構成系よりもより生体に近い系を確立し、ミオシンの滑り運動解析を目指す。これにより、種々のアクチン形態によるミオシン運動制御機構を1分子レベルで解明しようとするものである。本年度は培養細胞Ng108-15からのアクチン高次構造複合体の単離、及びそのミオシンレール系の開発を行い、以下の結果を得た。 Ng108-15細胞を種々の界面活性剤で処理後、ローダミンファロイジンでアクチン構造を安定化させ、細胞をかき集めてマイルドに破砕した。遠心操作により核画分を取り除き、さらに遠心操作によりアクチン束を分離した。このアクチン束を蛍光顕微鏡で観察したところ、界面活性剤としてTriton-X100、Teen-20、NP-40を用いたものが、形態、サイズともにフィロポディアに極めて似通っていた。アクチンレールとして使用できるという感触が得られたので、これらの画分をニトロセルロースコートしたフローチェンバーに流し込み、ガラス上にアクチン束の固定を試みているが、ガラスへの結合が不安定で、まだ成功していない。現在、固定条件・方法を変えて試しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に群馬県立県民健康科学大学に赴任したため、研究室の引越や整備に時間を取られてしまい、実験を実施する時間が予定より大幅に少なくなってしまった。さらに、実験に使用する培養細胞のトラブルで、細胞の再樹立に時間を要してしまった。以上の理由により、いまだアクチンレール系の確立にいたっておらず、計画は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)他のアクチン複合体単離:マウス繊維芽細胞から、低調液と界面活性剤を利用したKatohらの方法でストレスファイバーの単離を試みる。 (2)アクチン複合体の基盤への固定:再構成系のアクチン束固定は昨年度の方法で成功しているので、ニトロセルロース濃度をいろいろ変えて固定を試みる。アクチン束を直接固定できない場合は、アクチン抗体かNEM処理ミオシンを基板上に固定し、2段階での固定を試みる。 (3)ミオシン1分子滑り運動観察:以上の系を用いて、Qドット、Cy3で蛍光標識したミオシンの1分子解析を行う。なお、1分子解析を旧所属先である群馬大学で共同研究者中村(群馬大学)とともに行う予定であったが、諸般の事情(旧研究室への新教授赴任)で実施不能となった。そこで、新しい共同研究者として本多(長岡技術科学大学)を加え、1分子計測を担当してもらうこととなった。 (4) 脱膜モデルの作成:Ng108-15細胞をポリリジン、ラミニンでコートしたカバーグラス上で培養し、cAMPで分化誘導する。これにTriton-X100、NP40、CHAPS等、マイルドな界面活性剤を種々の濃度で作用させ、アクチン高次構造が破壊されない種類・濃度を探す。界面活性剤処理時にはローダミンファロイジンを同時に添加し、アクチンの安定化を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者分担金として40万円(中村10万円、本多30万円)、物品費(細胞培養用消耗品・培地、細胞処理用試薬、タンパク精製用試薬・消耗品など)として40万円、出張旅費(情報収集、学会発表、共同研究者訪問など)として30万円、人件費・謝金(実験補助)として30万円、合計140万円の使用を計画している。
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