研究課題/領域番号 |
24590317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石黒 和博 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60432275)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10215501)
安藤 貴文 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378041)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生薬 / サイトカイン / 腸炎 |
研究概要 |
平成24年度の研究の結果、以下のことを解明できた。 1)Atractylodinは活性化T細胞においてIL-6の産生を抑制することでIL-17の産生を抑制する一方、IFNgamma・IL-4・IL-2の産生に与える影響は小さかった。 2)Atractylodinは活性化T細胞だけではなくTNFalphaで刺激した線維芽細胞でもIL-6の産生を抑制した。 3)腸炎モデルマウスで検討したところ、腸炎発症初期には線維芽細胞でIL-6が産生されることが分かったため、線維芽細胞を用いてAtractylodinによるIL-6産生制御の機序を分子レベルで検討した。その結果、TNFalpha刺激2時間以内に見られるIL-6 mRNA発現誘導には影響を与えず、TNFalpha刺激6-18時間後にみられるIL-6 mRNAレベルの上昇を劇的に抑制することが分かった。 4)ハプテン‐タンパク複合体を蛍光観察できる腸炎モデルでAtractylodinの治療効果を検討したところ、ハプテン‐タンパク複合体が形成される粘膜においてAtractylodinはステロイドと同等な腸炎発症抑制効果を示した。更に腸炎に伴う下痢・体重減少についてもAtractylodinはステロイドと同等な改善効果を示した。 5)活性化T細胞におけるサイトカイン産生を指標に生薬成分のスクリーニングを進めたところ、Eleutheroside BがIFNgammaの産生を抑制することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Atractylodinがサイトカイン産生に与える影響についてT細胞以外の線維芽細胞でも確認することができ、タンパクレベルだけでなくmRNAレベルでも評価することができた。 また、腸炎モデルマウスでAtractylodinの治療効果を確認できた。 更にAtractylodin以外にもEleutheroside Bにサイトカイン産生制御作用があることを示唆する結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)AtractylodinがIL-6の発現をmRNAレベルで抑制する機序を分子レベルで解明する。 2)生薬成分など天然化合物のスクリーニングを進め、AtractylodinやEleutheroside B以外にサイトカイン産生制御作用を有する化合物を同定する。 3)新たに同定された化合物のうち、優れた抗炎症効果が期待できるものについてはAtractylodin同様に作用機序の解明と治療効果の検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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