研究課題/領域番号 |
24590317
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石黒 和博 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (60432275)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10215501)
安藤 貴文 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378041)
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キーワード | 生薬 / サイトカイン / 腸炎 / 腸内細菌 / ケモカイン |
研究概要 |
平成25年度の研究の結果、以下のことを解明できた。 1.AtractylodinはIL-6 mRNA発現に対してTNFalpha刺激2時間後までは影響を与えず、6-18時間後に生じる発現上昇を抑制する。2.Reporter assayではAtractylodinはTNFalpha刺激によるIL-6 promoter依存luciferase発現には影響を与えない。3.AtractylodinはIL-6 mRNA stabilityにも影響を与えない。4.TNFalpha刺激により活性化される転写因子、NF-kappaBのDNA結合能力をAtractylodinは阻害しない。5.しかし、ChIP assayで検討したところ、TNFalpha刺激6時間後、NF-kappaBとゲノム上のIL-6 promoterの結合はAtractylodinにより阻害される。 以上の結果からAtractylodinはIL-6 mRNA発現に必要な転写因子であるNF-kappaBそのものの活性化には影響を与えずIL-6 promoter上でepigeneticな影響をもたらすことによりNF-kappaBとIL-6 promoterの結合を阻害しTNFalpha刺激6時間後以降のIL-6 mRNA発現上昇を抑制することが示唆された。 他にも腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸の中で量が最も多い酢酸の抗炎症作用の分子機序を以下の通り解明した。 1.細菌鞭毛構成分子flagellinで刺激された大腸粘膜上皮細胞でIL-8産生を阻害する。2.阻害作用はtubulin alphaのアセチル化を介する。3)Tubulin alphaはRap1のC末端側に結合し、そのtubulin alphaがアセチル化されることでflagellinにより活性化するRap1-MEK-ERK-Elk-1 pathwayが障害される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Atractylodinの作用部位を特定できた。 酢酸の抗炎症作用を分子レベルで解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
1.Atractylodinの作用機序を分子レベルで解明する。 AtractylodinはIL-6 promoterのepigeneticな修飾に影響を与えると考えられる。Epigeneticな修飾としてgenome DNAのメチル化およびヒストンのアセチル化・メチル化が知られている。TNFalpha刺激後に生じるこれらのepigeneticな修飾を調べ、更にAtractylodinが与える影響とその仕組みを解明する。 2.サイトカインの産生を制御する天然化合物の同定を更に進める。 T細胞・マクロファージだけでなく線維芽細胞もサイトカインを産生することが分かった。これらの細胞における様々なサイトカインの産生を指標としてスクリーニングすることによりサイトカインの産生を特異的に制御する天然化合物を同定する。
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