スフィンゴ脂質は生体膜の脂質二重層を構成する脂質である。本研究では、内向き整流性カリウム(Kir)チャネルの機能がスフィンゴ脂質によって制御されるか調べた。結果として、スフィンゴ脂質のスフィンゴシンが細胞内側から各種Kir電流を阻害することを見出した。さらに、細胞膜のスフィンゴミエリンからセラミドを介して代謝的に生合成される内因性スフィンゴシンがKirチャネルを阻害することが薬理学的な実験から示唆され、新規のシグナル伝達機構として考えられた。スフィンゴシンとKirチャネル相互作用の解析を行ない、スフィンゴ脂質によるこのカリウムチャネル機能制御の基礎的な特性が理解できた。
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