研究課題/領域番号 |
24590322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
倉増 敦朗 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90302091)
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研究分担者 |
吉村 清 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30346564)
玉田 耕治 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00615841)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒスタミン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 大腸癌 / 肝転移 |
研究概要 |
1.ヒスタミン合成酵素欠損マウスを用いてマウス大腸癌肝転移モデルを作成し,生存率に対する内因性ヒスタミンの影響を調べた.生存期間中央値を比較すると,野生型マウス(Balb/c)の40日に対し,ヒスタミン合成酵素欠損マウスは24日であった.またログランク検定では,これら二群間に有意な差(P値 0.019)が認められた.次に,ヒスタミン合成酵素欠損マウスを用いてマウス大腸癌肺転移モデルを作成し,生存率に対する内因性ヒスタミンの影響を調べた.野生型マウス(Balb/c)及びヒスタミン合成酵素欠損マウスの生存期間中央値は,それぞれ44日及び40日であった.またログランク検定では,これら二群間に有意な差は認められなかった.以上の結果から,内因性のヒスタミンは大腸癌の転移に対し抑制的に働き,その作用は肝臓に特異的であることがわかった. 2.内因性ヒスタミンはヒスチジンから合成されるので,高ヒスチジン食を摂取すると,合成されるヒスタミン量が増加することが予想される.そこで,Balb/cマウスに高ヒスチジン食を与え,大腸癌肝転移モデルにおける生存率に対する影響を調べた.高ヒスチジン食開始から1週間後の血中ヒスタミン濃度を比較すると,高ヒスチジン食群と通常食群の間に有意な差は認められなかった.また,生存率曲線も二群間の差はなかった.以上の結果から,高ヒスチジン食は必ずしも内因性ヒスタミンを増加させず,肝転移を予防する効果もないことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,ヒスタミン合成酵素欠損マウスを用いてマウス大腸癌肝転移モデルを作成し,内因性のヒスタミンが大腸癌の肝転移に対し抑制的に働くことを示唆する結果を得ており,概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進展しているので,今後も予定通り推進する.ヒスタミンが肝転移を抑制する機序について実験を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入した実験用動物が想定価格よりも安価に購入できたため,次年度使用額1357円が生じた.次年度に細胞培養試薬購入のために使用し,それ以外の使用計画に大きな変更はない.
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