研究課題
基盤研究(C)
本研究は人工アミノ酸を用いて2型リアノジン受容体(RyR2)のS4-S5リンカーを介する相互作用を同定し、チャネル活性制御と疾患変異による破綻の分子機構を明らかにすることを目的とした。平成24年度は催不整脈性疾患変異体の作製と機能解析および人工アミノ酸導入のためのRyR2の改変を行った。RyR2の催不整脈性疾患(CPVTおよびARVD)変異を有する変異体を15種類作製した。チャネル活性を細胞内Ca2+イメージング法で測定したところ、これらの変異体はいずれも野生型に比べて活性が亢進していることが明らかとなった。リアノジン結合法でCICR活性を測定した結果、Ca2+依存性およびゲインの亢進が見られた。しかし、その程度は変異体によって異なっていた。S4-S5リンカーに光架橋可能な人工アミノ酸を導入する準備として、精製用および検出用のタグ配列を挿入した。精製用のアフィニティタグはStreptavidin-binding peptide (SBP)を用い、D2領域に挿入した。検出用のエピトープタグはHA-tagをC末端に挿入した。加えて、配列特異的プロテアーゼであるTEVプロテアーゼ認識配列をS1-S2リンカーに挿入した。これらの挿入変異体は野生型と同様のチャネル活性を有していた。
2: おおむね順調に進展している
本研究で24年度に計画した実験については、疾患変異体の作製と機能解析および人工アミノ酸の導入準備のいずれも当初の予定通りに進行している。
平成24年度に人工アミノ酸導入のための準備は整ったので、平成25年度以降は当初の予定通り実際に人工アミノ酸を導入する実験を行う。人工アミノ酸はS4-S5リンカー中に導入する。RyR1を用いたアラニン置換実験 (Murayama et al., J. Biol. Chem., 286, 35571-35577, 2011) で活性変化が著明だったT4754、L4756、S4758を最初のターゲットとする。人工アミノ酸の導入は連携研究者の坂本が開発したアンバーコドン (UAG) を認識するtRNAとアミノアシルtRNA合成酵素 (aaRS) ペアにより行う。光架橋可能な人工アミノ酸としてp-Benzoil-L-phenylalanine (pBpa) を用いる。HEK細胞で安定発現株を樹立後、機能解析を行う。 pBpa導入RyR2を精製用タグで精製後、種々の条件下で光架橋する。配列特異的プロテアーゼで限定分解後、エピトープタグで検出を行う。これを質量分析して架橋部位を同定する。疾患関連変異体についても同様な操作を行い、架橋部位の同定を行う。これらの結果から、相互作用部位に関する予測を行う予定である。
該当なし
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