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2013 年度 実施状況報告書

心筋組織の動的細胞マッピング用いたリアノジン受容体を制御する抗不整脈薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 24590331
研究機関順天堂大学

研究代表者

呉林 なごみ  順天堂大学, 医学部, 准教授 (50133335)

キーワードリアノジン受容体 / カルシウム / 心筋 / 不整脈 / 筋小胞体 / 抗不整脈薬 / ライブイメージング
研究概要

目的と計画
心筋型リアノジン受容体(RyR2)からの自発的Ca2+遊離を制御する薬物は不整脈治療薬となる可能性がある。現在RyR2のみに作用する抗不整脈薬は見つかっていないが、いくつかの抗不整脈薬(カルベジロール、フレカイニド等)は本来の作用に加えRyR2への作用で不整脈抑制に寄与することが示唆されている。しかしそれらに対し異論もあり、薬物本来の作用とRyR2抑制効果の各々の寄与の程度は明らかでない。本研究の目的は、これらの薬物の作用の詳細(リアノジン受容体、その他の細胞内Ca2+調節系、受容体、活動電位等への作用)を調べ、どのようなRyR2抑制が抗不整脈効果を持ち得るかを検討し、新たな抗不整脈薬の可能性を探索することである。計画では摘出心筋標本への候補薬の作用をライブイメージングにより調べると共に、RyR2を安定発現させたHEK293細胞を用いRyR2に対する薬物の直接作用を明らかにする。RyR2からのCa2+遊離促進の機構は”Ca2+によるCa2+遊離”(CICR)機構と”ストアCa2+過負荷誘発性Ca2+遊離”(SOICR)機構が提唱されているので、候補薬物がそれらのパラメータにどのように働くか検討する。
実施状況
まず不整脈を頻発する拡張型心筋症モデルの心室筋の細胞内Ca2+および活動電位を共焦点顕微鏡によりモニターした。上述した既報告の薬物のいくつかはDCMモデル心筋の自発活動を有意に減少させた。次にRyR2発現HEK細胞を用いRyR2に対する薬物の直接作用を検討した。SOICRを検討するために、小胞体Ca2+インジケーターを用いて小胞体内Ca2+レベルを測定した。その結果、カルベジロールは小胞体 Ca2+レベルを減少させることが自発的Ca2+遊離の抑制に関わることが分かった。現在、CICRおよびSOICRのパラメータを種々の薬がどのように変化させるかを検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

不整脈モデル心筋組織および、RyR2を安定発現するHEK293細胞の小胞体Ca2+をモニターするというアッセイ系を確立することができた点は、かなり前進した点であり、今後の応用性も広いと思う。
一方で候補薬物の探索では、RyR2に作用の強い抗不整脈薬の候補はまだあまり見いだせていない。

今後の研究の推進方策

RyR2に作用の強い候補薬はまだ既報のもの以外見いだせていない。しかし、我々が構築した解析システム(HEK293細胞の小胞体Ca2+モニター系)を用い、RyR2の不整脈原性変異体の性質の検討はかなり進んだので、CICRの各パラメータと自発的Ca2+遊離の関係が分かってきた。今後も、薬物探索を続けるが、これに加え、RyR2変異体の性質についての検討結果を報告する。そして、自発的Ca2+遊離/不整脈を制御するCICRおよびSOICRのパラメータを導き出し、それを心筋組織で検証し、薬物の探索につなげることを考えている。

次年度の研究費の使用計画

年度末3月に購入予定していた試薬の在庫が国内になく、納入が間に合わなかった。
消耗品の購入に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Assembly of the cochlear gap junction macromolecular complex requires connexin 262014

    • 著者名/発表者名
      Kamiya, K., S.W. Yum, N. Kurebayashi, M. Muraki, K. Ogawa, K. Karasawa, A. Miwa, X. Guo, S. Gotoh, Y. Sugitani, H. Yamanaka, S. Ito-Kawashima, T. Iizuka, T. Sakurai, T. Noda, O. Minowa, and K. Ikeda
    • 雑誌名

      J Clin Invest.

      巻: 124 ページ: 1598-607

    • DOI

      10.1172/JCI67621

    • 査読あり
  • [雑誌論文] キーワード解説:カルシウム・膜電位イメージング2014

    • 著者名/発表者名
      呉林なごみ
    • 雑誌名

      日本薬理学雑誌

      巻: 143 ページ: 45-46

    • DOI

      DN/JST.JSTAGE/fpj/143.45 [pii]

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Usefulness of running wheel for detection of congestive heart failure in dilated cardiomyopathy mouse model.2013

    • 著者名/発表者名
      Sugihara M, Odagiri F, Suzuki T, Murayama T, Nakazato Y, Unuma K, Yoshida K, Daida H, Sakurai T, Morimoto S, Kurebayashi N
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e55514

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0055514 PONE-D-12-02326 [pii]

    • 査読あり
  • [学会発表] Effects of candesartan on progression of electrical remodeling in the hearts of inherited DCM model mice2014

    • 著者名/発表者名
      Nagomi Kurebayashi, Fiminori Odagiri, Hana Inoue, Masami Sugihara, Takeshi Suzuki, Takashi Murayama, Takao Shioya, Masato Konishi, Yuji Nakazato, Hiroyuki Daida, Takashi Sakurai, Sachio Morimoto,
    • 学会等名
      17th World Congress of Pharmacology
    • 発表場所
      ケープタウン、南アフリカ共和国
    • 年月日
      20140713-20140718
  • [学会発表] 不整脈原性2型リアノジン受容体のCICR特性2014

    • 著者名/発表者名
      呉林なごみ 村山尚 鈴木純二 金丸和典 飯野正光 櫻井隆
    • 学会等名
      第87回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20140319-20140321
  • [学会発表] 心室性不整脈を誘発する2型リアノジン受容体変異体のCa2+遊離の特性2014

    • 著者名/発表者名
      呉林なごみ 村山尚 鈴木純二 金丸和典 飯野正光 櫻井隆
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] Divergent effects of disease associated mutations on type 2 ryanodine receptor channel.2014

    • 著者名/発表者名
      Kurebayashi, N Murayama, T Uehara, A Yasukochi, M Sakura,i T
    • 学会等名
      58th Biophysical Society Annual Meeting
    • 発表場所
      サンフランシスコ、米国
    • 年月日
      20140215-20140219

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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