研究課題/領域番号 |
24590333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中木 敏夫 帝京大学, 医学部, 教授 (30164148)
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研究分担者 |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 准教授 (00420943)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | GTRAP3-18 / やせ / 低血糖 / 低インスリン血症 / αMSH |
研究概要 |
酸化ストレス脆弱性惹起因子として、神経細胞内グルタチオン量抑制タンパク質であるGTRAP3-18を申請者らは同定したが、この遺伝子ノックアウトマウス(以下GTRAP-/-マウス)の表現形を精査する過程で、低血糖・低インスリン血症・低体重がみられ、さらに高い学習能力を有するという稀な表現形であることを見出した。本研究は、GTRAP-/-マウスが低血糖・低インスリン血症・低体重を呈するメカニズムおよび高い学習能力を示すメカニズムを明らかにすることが目的である。ヒトの臨床知見から低血糖・低インスリン血症・低体重の原因として食欲低下の可能性が最も考えられ、実際に、食餌摂取量の減少がみられた。まず低血糖の原因として骨格筋のブドウ糖取り込みが亢進している可能性を考えGLUT4の発現量を調べた。骨格筋および脂肪組織におけるGLUT4の解析ではGLUT4組織内総量及び細胞膜発現量には野生型マウスと比較して有意な差は認められなかった。摂食行動に関連して変動する既知の神経ペプチド、細胞内酵素、転写因子群、神経伝達物質の解析の結果、血中レプチン濃度は減少していた。このことは、GTRAP-/-マウスのやせの原因としてグレリンの変化は重要ではないこと示している。血中グレリン濃度は野生型と比較して有意差はなかった。中枢神経系のMCH受容体typeIは食欲に関与していることが知られている。しかし、MCH受容体typeIの発現量には野生型とノックアウトマウスには有意な差が見られなかった。これに対してMCH受容体typeIリガンドである中枢性摂食行動抑制性ペプチドのαMSHにはノックアウトマウスにおいて増加が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた検索項目は多岐にわたり、ノックアウトマウスにおいて変化を示す項目に行き着くまでに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
GTRAP3-18ノックアウトマウスの表現形がαMSHの増加によって生じると仮定するならば、αMSHとその受容体の結合を抑制する拮抗薬によってノックアウトマウスの表現形は消失して野生型に近くなるはずである。この可能性を優先して追求し、少なくとも食欲低下、やせ、低血糖、低インスリン血症の原因を確定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、すべて消耗品に使用する。
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