研究課題/領域番号 |
24590333
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中木 敏夫 帝京大学, 医学部, 教授 (30164148)
|
研究分担者 |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 准教授 (00420943)
|
キーワード | GTRAP3-18 / EAAC1 / 低血糖 |
研究概要 |
1)低血糖・低インスリン血症・低体重をきたす病態生理の解明:GTRAPはシステイン輸送タンパク質EAAC1の抑制因子であるゆえに、GTRAP-/-マウスではEAAC1の機能が亢進することが推定され、神経細胞内へのシステイン取り込み増加、それに起因するグルタチオン量の増加及び酸化ストレスに対する抵抗性の増加が申請者らの実験によって示されているが、GTRAP-/-マウスのすべての表現形をEAAC1の機能亢進のみに帰着できるか否かが問題となる。少なくともこれまで報告されているEAAC1の発現組織(神経細胞、腎、精巣、腸など)のシステインあるいはグルタミン酸の取り込み亢進では説明できない。GTRAPが同定された経緯を振り返るならば、LinらがYeast two hybrid methodによって同定したGTRAPはEAAC1のC末端に結合するタンパク質のスクリーニング方であるゆえ、EAAC1に結合するタンパク質はGTRAPが最も親和性が高いと推定できるものの、この方法はGTRAPに結合するタンパク質をスクリーニングするものではないため、GTRAPの結合相手としては未知のタンパク質である可能性が十分にあった。ヒトの臨床知見から低血糖・低インスリン血症・低体重の原因として食欲低下の可能性が最も考えられ、実際に、食餌摂取量の減少がみられた。したがって、GTRAPは新しい食欲維持タンパク質の可能性がある。それゆえ、GTRAPによって食欲を調節する機序の破綻が考えられた。実際、この可能性が極めて高いことを示す結果が出つつある。中枢性摂食行動抑制性ペプチドのなかに異常動態を示すものを同定し、さらにGTRAPと結合する新しい結合タンパク質を同定した。(以上投稿準備中) 2)骨格筋グルコース輸送体GLUT4の膜移行に関与する可能性:GTRAP-/-マウスの極度の低血糖は、GTRAPを欠損することによって生じたGLUT4の膜での過剰発現が原因である可能性もあった。しかし、この可能性を否定する実験結果が出ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GTRAP3-18欠損マウスの低血糖の原因はほぼ確定できたと考えているが、記憶力亢進についてはいまだに暗中模索の状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
低血糖の原因について最終的な詰めを行っている。記憶力亢進については進捗が遅れており、研究成果としては2つに分けて発表する方針を考えている。
|