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2012 年度 実施状況報告書

小胞体ストレスセンサー制御の分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 24590339
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東北大学

研究代表者

小林 孝安  東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (10221970)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードPP2C / プロテインホスファターゼ
研究概要

近年、小胞体ストレスへの不適切な応答が、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病などの発症や病態進行に関わることが明らかにされている。小胞体ストレスのシグナルは、IRE1、PERKおよびATF6の3種類のセンサーで感知された後、細胞質・核へと伝達されていくが、そのうち、IRE1が活性化されるためには、小胞体ストレスに応答したセンサーの二量体化およびそれに伴う分子間自己リン酸化で、Ser724を含む複数の残基がリン酸化されることが必要である。今回、私達は、培養細胞における異所発現系により、小胞体に局在するセリンスレオニンホスファターゼであるPP2CεがIRE1のSer724を特異的に脱リン酸化すること、PP2Cεは小胞体上に存在するscaffoldタンパクであるVAP-Aを介してIRE1と結合することを見出した。しかしながら、PP2Cε遺伝子欠損マウスより樹立したMEF細胞を用いた実験では、PP2Cε遺伝子欠損によるIRE1のSer724のリン酸化の亢進は認められなかった。このことは、細胞内ではPP2Cεを含む複数のプロテインホスファターゼがIRE1の脱リン酸化に関与していることを示唆しており、脱リン酸化に関与するプロテインホスファターゼの同定が今後の研究の遂行に当たって非常に重要であることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PP2Cε遺伝子欠損マウスより樹立したMEF細胞を用いた実験において、PP2Cε遺伝子欠損によるIRE1のSer724のリン酸化の亢進は認められなかったことから、PP2Cε以外のプロテインホスファターゼがIRE1の制御に関与することが分かり、IRE1は当初考えられていたよりも複雑な機構で制御されていることが示唆されたことから。

今後の研究の推進方策

PP2Cε遺伝子欠損マウスより樹立したMEF細胞を用いた実験では、PP2Cε遺伝子欠損によるIRE1のSer724のリン酸化の亢進は認められなかったことから、細胞内ではPP2Cε以外の複数のプロテインホスファターゼがIRE1の脱リン酸化に関与していることを示唆された。この結果を踏まえ、次年度はIRE1の脱リン酸化に関与するプロテインホスファターゼの同定を試みる予定である。そのために、セリンスレオニン特異的なプロテインホスファターゼ(PP1、PP2A, カルシニューリン、PP2C、PP4、PP5、PP6およびPP7)に対するsiRNAによる発現のノックダウン によりIRE1の脱リン酸化に関与するプロテインホスファターゼの同定を試みる。

次年度の研究費の使用計画

これまでの研究計画に加え、セリンスレオニン特異的なプロテインホスファターゼ(PP1、PP2A, カルシニューリン、PP2C、PP4、PP5、PP6およびPP7)の触媒サブユニットに対するsiRNAによる発現のノックダウンに必要な試薬の購入を追加する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] N-Myristoylation is essential for protein phosphatases PPM1A and PPM1B to dephosphorylate their physiological substrates in cells2013

    • 著者名/発表者名
      Chida, T.Ando, M.Matsuki, T.Masu, Y.Nagaura, Y.Takano-Yamamoto,T.Tamura, S.Kobayashi, T.
    • 雑誌名

      Biochem.J

      巻: 449 ページ: 741-749

    • DOI

      10.1042/BJ20121201

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Acyl-CoA binding domain containing 3 (ACBD3) recruits the protein phosphatase PPM1L to ER-Golgi membrane contact sites2012

    • 著者名/発表者名
      Shinoda, Y., Fujita, K., Saito, S., Matsui, H., Kanto, Y., Nagaura, Y., Fukunaga, K., Tamura, S., Kobayashi, T.
    • 雑誌名

      FEBS Lett

      巻: 586 ページ: 3024-3029

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2012.06.050

    • 査読あり
  • [学会発表] Targeted disruption of the mouse protein phosphatase 2Cε gene leads to structural abnormalities in the brain.2013

    • 著者名/発表者名
      Fujita, K., Shinoda, Y., Nagaura, Y., Sakagami, H., Ohnishi, M., Tamura, S., Kobayashi, T.
    • 学会等名
      10th International Conference on Protein Phosphatase
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      20130207-20130209
  • [学会発表] Golgi complex-associated protein of 60 kDa (GCP60) recruits the protein phosphatase PPM1L to ER-Golgi membrane contact sites2013

    • 著者名/発表者名
      Shinoda, Y., Fujita, K., Nagaura, Y., Fukunaga, K., Tamura, S., Kobayashi, T.
    • 学会等名
      10th International Conference on Protein Phosphatase
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      20130207-20130209
  • [学会発表] ノックアウトマウスを用いたPP2Cεの新規機能解明2012

    • 著者名/発表者名
      藤田 宏介、篠田 康晴、千田 透子、永浦 裕子、草野 理恵、渡邊 利雄、松居 靖久、相澤 慎一、清成 寛、阿部 高也、阪上 洋行、大西 素子、田村 眞理、小林 孝安
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] Golgi complex-associated protein of 60 kDa (GCP60) recruits the protein phosphatase PPM1L to ER-Golgi membrane contact sites2012

    • 著者名/発表者名
      篠田 康晴 藤田 宏介 永浦裕子 福永浩司 田村眞理 小林孝安
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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