研究課題/領域番号 |
24590339
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (10221970)
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キーワード | プロテインホスファターゼ / PP2C |
研究概要 |
近年、小胞体ストレスへの不適切な応答が、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病などの発症や病態進行に関わることが明らかにされている。小胞体ストレスのシグナルは、IRE1、PERKおよびATF6の3種類のセンサーで感知された後、細胞質・核へと伝達されていくが、そのうち、IRE1が活性化されるためには、小胞体ストレスに応答したセンサーの二量体化およびそれに伴う分子間自己リン酸化で、Ser724を含む複数の残基がリン酸化されることが必要である。今回、私達は、培養細胞における異所発現系により、小胞体に局在するセリンスレオニンホスファターゼであるPP2CεがIRE1のSer724を特異的に脱リン酸化することを見出した。一方、PP2Cεの機能の制御機構に関しては、これまで知見が全くなかったため、今回新たな検索を行った。PP2Cεの見かけ上の分子量は、臓器によって異なっており、脳に発現するPP2Cεの分子量が一次構造より推測される40kDaであるのに対し、肝臓のPP2Cεはより高分子量(約50kDa)を示す。肝臓より精製したPP2Cεをホスファターゼで処理しても分子量が変化しないため、この高分子量化はリン酸化によるものではないことが分かっていたが、その実体は不明であった。今回我々は、培養細胞で発現させたPP2Cεをトリプシン消化後、質量分析を行うことで同タンパクがユビキチン化されていることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PP2Cの機能制御に関してユビキチン化という新しい修飾機構を見いだせたため。
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今後の研究の推進方策 |
PP2Cεのユビキチン化の役割について、以下の観点から研究を推進していく。 (1)内在性のPP2Cεのユビキチン化の同定 (2)結合しているユビキチンの動態 (3)ユビキチンの結合残基の同定 (4)PP2Cεのユビキチン非結合型変異体をもちいたユビキチン修飾の役割の検討
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物を用いた実験が予定より遅れており、そのため次年度に繰り越すことになった。 培養細胞を用いた実験を遂行するとともに、実験動物を用いた実験を進めより詳細な解析を行っていく予定である。
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