研究課題
小胞体ストレスのセンサーであるIRE1が活性化されるためには、小胞体ストレスに応答した二量体化およびそれに伴う分子間自己リン酸化で、Ser724を含む複数の残基がリン酸化されることが必要である。今回、私達は、培養細胞における異所発現系により、小胞体に局在するセリンスレオニンホスファターゼであるPP2CεがIRE1のSer724を特異的に脱リン酸化することを見出した。しかしながら、遺伝子発現をsiRNAでノックダウンしてもSer724のリン酸化レベルに変化がなかったことから、IRE1の脱リン酸化にはPP2Cεを含む複数のプロテインホスファターゼが関与することが示唆された。PP2Cεは小胞体膜とゴルジ体膜が近接する部位でVAPA依存性にCERTを脱リン酸化し、リン脂質の輸機能を亢進することを以前報告していた。今回我々は、PP2Cεがゴルジ体に局在するAcyl-CoA-Binding Domain-Containing Protein 3 (ACBD3)にGoldドメインを介して会合し、その結果、ゴルジ体膜近傍にリクルートされCERTの脱リン酸化が亢進されることを明らかにした。PP2CεはGoldドメインを持つ複数のタンパクと結合することが明らかになり、Goldドメインの新規の機能が明らかになった。一方、PP2Cεの機能の制御機構については、知見が全くなかったため、今回新たな検索を行った。PP2Cεの見かけ上の分子量は、臓器によって異なっており、脳に発現するPP2Cεの分子量が一次構造より推測される40kDaであるのに対し、肝臓のPP2Cεはより高分子量(約50kDa)を示す。今回我々は、培養細胞で発現させたPP2Cεをトリプシン消化後、質量分析を行うことで同タンパクがユビキチン化されていることを見出した。
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