低酸素応答は、低酸素環境下での個体の恒常性の維持に働く。HIFはこの低酸素応答で主要な働きをする転写因子である。一方、私は低酸素応答の慢性期にHIFの活性が低下して、HIFとは異なる機構で遺伝子発現が制御されることをこれまでに見出してきた。そこで本研究では、慢性期の低酸素応答制御でHIFの働きを代替する転写因子の同定とその慢性期低酸素応答における役割を解明することを試みた。その結果、慢性期低酸素応答に働く転写因子として新たにCREB, NF-κBの同定に成功した。さらに、マウスへの移植実験から、これらの因子はがんの転移能獲得に必須であることが明らかになった。
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