研究課題
DNA microarrayとPromoter tiling arrayを併用したゲノムワイドな解析より、新たなSF-1標的遺伝子の同定を試みた。その結果、今までSF-1の標的遺伝子とは考えられていなかった10の遺伝子を同定し、その中からゲノム上でクラスターを形成しているGlutathione S-Transferase (GST) A family (GSTA1-4)について解析した。GSTA familyのプロモーター領域へのSF-1のリクルートと転写活性を検討したところ、GSTA3とA4プロモーター領域にはSF-1のリクルートと転写活性の上昇が認められたが、A1とA2には認められなかった。このことから、SF-1によるGSTA1とA2の転写制御にはクロマチン構造の変化を介していると推察された。そこで3C法を用いて検討したところ、SF-1依存的にGSTA3のプロモーター領域がGSTA1のプロモーター領域に近接することで転写制御されていることが明らかとなった。またSF-1依存的なクロマチン構造変化メカニズムを明らかにするため、SF-1のドメインマッピングを行ったところ、SF-1のHinge領域が重要であることが示された。最終年度では、SF-1依存的なクロマチン構造変化とエピジェネティックな変化について、間葉系幹細胞と内在性にSF-1が発現するH295R細胞を用いて検討した。H295R細胞を用いて恒常的にSF-1をノックダウンしたところ、SF-1の発現とその標的遺伝子の発現はほぼ消失したが、ヒストン修飾 (H3K4me2, H3K27Ac)については、低下は認められたが完全には消失しなかった。さらにクロマチン構造変化について3C法を用いて検討したところ、SF-1ノックダウン細胞とコントロール細胞との間で差は認められなかった。これらの結果から、発現を誘導するために十分なSF-1の発現量がない場合でも、ヒストン修飾やクロマチン構造変化には影響を与えることが示唆された。また、SF-1のHinge領域によるクロマチン構造変化メカニズムを明らかにするため、この領域との相互作用タンパク質の同定を試みている。
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