研究課題/領域番号 |
24590348
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武井 佳史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362233)
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研究分担者 |
門松 健治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80204519)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | siRNA / アテロコラーゲン / ドラッグデリバリー / 癌治療 / 炎症治療 / 細胞特異的 / コラーゲン受容体 / マクロファージ |
研究概要 |
我々は、これまでにマウスに尾静脈注(i.v.)したsiRNA・アテロコラーゲン複合体が、炎症性マクロファージあるいは癌細胞に特異的にデリバリーされ、RNA干渉を発動後、抗炎症効果や抗癌効果を示す事を証明してきた。標的細胞選択的なsiRNAデリバリー法は、副作用の少ないより安全なsiRNA核酸医薬の実現において必要不可欠である。本課題では、siRNA・アテロコラーゲン複合体が示す標的細胞選択性の分子メカニズムを解明する。本年度は、炎症性マクロファージにおける同複合体の細胞への取込機序の解明を行った。具体的には下記の実験を行った。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7をIFN-ガンマで刺激し、活性化マクロファージRAW細胞を得た。マウス腹腔侵出マクロファージや腹膜擦過マクロファージも調製した。これら数種のマクロファージ株について、網羅的アレイ解析(Whole Mouse Genome Microarray ver. 2, Agilent)を完了した。現在、活性化マクロファージに特異的な遺伝子の選定を行い、コラーゲン結合モチーフと細胞膜貫通部位を持つ分子を絞り込んでいる。一方、我々は独自の実験により、CD280(Endocytic collagen receptor)が、IFN-ガンマで活性化したマクロファージに特異発現することを既に見出している。上記の網羅的遺伝子解析とは別個に、このCD280分子を介したsiRNA・アテロコラーゲン複合体の取込を検討している。具体的には、このCD280に対するsiRNAとshRNAを作成し、活性化マクロファージ上の標的CD280発現がノックダウンされることを示した。次年度において、CD280発現が抑制されたときのsiRNA取込量の変化を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究実施計画に記載の通り、炎症性マクロファージに特異的なコラーゲン受容体やコラーゲン結合タンパク質の網羅的解析(アレイ解析)を予定どおり実施した。現在、アレイの結果を解析中であるが、新規なコラーゲン結合タンパク質の同定も出来そうな結果を得ている。また、CD280(Endocytic collagen receptor)については、その発現を制御可能なsiRNAやshRNAを作成した。次年度以降、炎症性マクロファージにおいてCD280をノックダウンした実験が予定どおり実行可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、今後、網羅的遺伝子解析で同定した炎症性マクロファージに特異的なコラーゲン受容体をノックダウンし、そのときのsiRNA・アテロコラーゲン複合体の取込量を測定する。炎症性マクロファージが過剰発現するMCP-1を標的としたsiRNAをアテロコラーゲンと複合体化させて、効果を調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題は平成26年度までの3年間の課題である。平成25年度において、癌細胞に特異発現するコラーゲン受容体(コラーゲン結合タンパク質)の同定およびその機能解析を計画している。炎症性マクロファージに特異的なコラーゲン受容体の解析と合わせて、同時進行で実験を進める予定である(次年度以降の当該研究費の使用目的・使用計画)。
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