研究課題/領域番号 |
24590350
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
沼野 利佳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30462716)
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研究分担者 |
中尾 和貴 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20217657)
河野 剛士 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70452216)
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キーワード | 概日リズム / 豊橋プローブ / 深部細胞 |
研究概要 |
初年度に整備した豊橋技術科学大学における特定の微生物に感染していないSPF実験空間において、概日リズムをリアルタイムでモニターできるPer1:lucやPer1:GFP遺伝子組み換えトランスジェニック(Tg)マウスを用いて、SCNの中枢時計のリズムを発光測定装置や、共焦点顕微鏡で観察している。 SCNスライスに対してVLS法で作成された微小刺入型電極(豊橋プローブ)を用いて、SCN脳スライスの細胞内・外電位の数分の短時間の記録を行った。先端が先鋭化したVLSチップを用いて、細胞株や脳スライスの深部の神経細胞に、外来性の蛍光蛋白を発現するDNAを導入してアプローチした細胞をマーキングに成功している。これにより、どの神経細胞から発火スパイクを測定したかが判別できることがわかった。 SCNの光刺激については、Per1:GFP遺伝子を発現させた細胞株を用いた実験で、光反応の化合物MAGとLiGluR受容体を用いた光刺激を同じdush内の性質の違う細胞に対して行うと、老化やストレスにより1細胞レベルの時計遺伝子Per1の発現誘導が弱くなることから、位相リセット機構が弱くなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
豊橋プローブ(VLSチップ)は、細さが1μm以下で、長さが100μm~1mmの長いものがある。よりよい、神経細胞の発火スパイクを測定するためには、脳スライスにおいて深部の健全な細胞を測定する必要がある。豊橋プローブを用いて、脳の深部の細胞にどこまでアプローチできるかを測定し、長さが100μmのプローブを用いると長さが70μmまでの深部にアプローチでき、細胞に外来性DNA分子をデリバリーし、形質転換することに成功した。野生型でも光照射により刺激を細胞内部に伝達し、生理反応を変化させる新規化合物を2種類作成しており、これを用いて特異的な細胞の外部刺激実験を、概日リズムがリアルタイムでモニターできる組かえマウスの中枢時計SCNスライス組織を使って、部位特異的に刺激し、SCN全体のリズムがどのように変化するかを調べる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、野生型でも光照射により刺激を細胞内部に伝達し、生理反応を変化させる新規化合物を2種類作成しており、このことは個体レベルの実験が、組み換え動物を作成しなくても、すぐに可能であることを示す。また、VLSチップにより、神経細胞に外来性DNA分子をデリバリーし、形質転換することに成功した。これらを用いて特異的な細胞の外部刺激実験を、概日リズムがリアルタイムでモニターできる組み換えマウスの中枢時計SCN組織を使って、部位特異的に刺激をし、SCN全体のリズムがどのように変化するかを調べる。
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