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2014 年度 実績報告書

脊椎動物の進化軸から見た中枢神経D-セリン代謝とその役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24590351
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

田中 裕之  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10293820)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードD-セリンデヒドラターゼ / スプライスバリアント / D-セリン
研究実績の概要

D-セリンは脊椎動物の中枢神経においてNMDA型グルタミン酸受容体に結合し、興奮性神経伝達物質として働いている。したがって、脊椎動物の中枢神経にはD-セリン濃度の調節機構が存在していると予想されるがその実態は明らかではない。
X線構造解析により、ニワトリ由来D-セリンデヒドラターゼ(chDSD)が触媒機能を発揮するためには、その活性中心に補酵素PLP(活性型ビタミンB6)だけではなく、亜鉛イオンが必須であることがわかっている。これらの因子のうち、PLPが結合しているアミノ酸残基はN末端側のLys45であり、亜鉛イオンはC末端側のHis347およびCys349である。本研究において、chDSDの興味深いスプライスバリアントの配列を見出した。すなわち、補酵素PLPが結合するLys45を含むN末端側は保存されているが、C末端側の亜鉛イオンの結合ドメインのうちCys349がセリン残基に置換している。このことは、このバリアントがもつ亜鉛イオン結合能が著しく減少する可能性を示唆する。
我々のこれまでの分光学的研究により、EDTA処理により亜鉛イオンを欠いた本酵素は、基質であるD-セリンと結合するものの、その先の脱水反応がおこらないことがわかっている。したがって、このスプライスバリアントはデヒドラターゼ活性を失い、生理的にD-セリン結合タンパク質として機能している可能性がある。現在、大腸菌による発現系を用いてこのスプライスバリアントの機能解析をすすめている。
多くのタンパク質遺伝子にスプライスバリアントが存在し細胞の種類や発生段階に応じて特異的に発現していることが示されている。今後、chDSDの組織特異的なスプライシングの制御機構が明らかにすることは、D-セリン濃度の調節機構の理解を進める上で重要である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of D-serine on spermatogenesis and extracellular signal-regulated protein kinase (ERK) phosphorylation in the testis of the silkworm, Bombyx mori.2014

    • 著者名/発表者名
      Suzuki C, Tanigawa M, Tanaka H, Horiike K, Kanekatsu R, Tojo M, Nagata Y.
    • 雑誌名

      J Insect Physiol

      巻: 67 ページ: 97-104

    • DOI

      10.1016/j.jinsphys.2014.06.003.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 5-Hydroxytryptophan acts as an ovary-inducing substance in asexual worms of the planarian Dugesia ryukyuensis.2015

    • 著者名/発表者名
      Nanna Nagao, Takanobu Maezawa, Hiroyuki Tanaka, Kazuya Kobayashi.
    • 学会等名
      第48回日本発生生物学会大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2015-06-02 – 2015-06-05
  • [学会発表] D型アスパラギン酸が精子形成に及ぼす影響の検討2015

    • 著者名/発表者名
      富田圭司, 影山進, 村井亮介, 花田英紀, 田中裕之, 縣保年, 河内明宏
    • 学会等名
      第103回 日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      石川県 金沢市
    • 年月日
      2015-04-18 – 2015-04-21
  • [学会発表] D-Amino acid oxidase is involved in the ovarian development of asexual planarian worms.2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Tanaka, Takanobu Maezawa, Yoshihiro Nishimura, Tetsuo Ihida, Kazuya Kobayashi, Yasutohi Agata
    • 学会等名
      The 2nd International Conference of D-Amino Acid Research
    • 発表場所
      Utsunomiya, Tochigi, Japan
    • 年月日
      2014-09-02 – 2014-09-05
  • [図書] D-Amino Acids : Physiology, Metabolism, and Application2015

    • 著者名/発表者名
      Tomokazu Ito, Tohru Yoshimura, Tetsuo Ishida, Hiroyuki Tanaka
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2016-06-01  

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