D-セリンは脊椎動物の中枢神経においてNMDA型グルタミン酸受容体に結合し、興奮性神経伝達物質として働いている。脊椎動物にはD-セリン分解酵素としてD-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)とD-セリンデヒドラターゼ(DSD)の2つが知られる。本研究により、ニワトリ脳ではアストロサイトに発現するDSDがD-セリン濃度を調節していることを明らかにした。これまでの研究により、哺乳類の脳ではアストロサイトに発現するDAOがその役割を担っていることがわかっている。今回の結果とあわせて考えると、アストロサイトがD-セリン分解のために使う酵素は、進化の過程でDSDからDAOにスイッチしている可能性が示唆された。
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