研究課題/領域番号 |
24590352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
BEGUM NasimAra 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362507)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | AID / TOP1 / CSR / SHM / H3K4me3 / FACT / SPT6 / Genomic instability |
研究概要 |
AIDは抗体遺伝子の多様化の過程でIgHローカス上でのゲノムの不安定化を引き起こす。AIDは、また癌化につながる形質転換の原因となる異常なゲノムの再編成を引き起こす。それ故に、基本的な発症メカニズムを理解することは重要である。ヒストンシャペロンFACTに関する我々の初期の仕事によって、AIDによって引き起こされたDNA切断上のクロマチン制御の重要性が示唆された。我々は、ヒストンシャペロンSpt6がAIDならびにAIDが標的とする領域におけるクロマチン制御に関与していることを証明した。驚くべきことに、Spt6による2つの領域制御は、異なった2つの独立したエピジェネティックな標識によりコントロールされている.これらの発見によってクロマチンがAIDによるゲノムの再編成を制御しているという我々の仮説が支持された。我々は、さらにH3K4me3-DNA切断複合体の単離と、新規なクロマチン因子の同定へと展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々のプロジェクトは順調に進んでおり、初年度に計画された目標に達している。タンパク質複合体の単離に関する研究では、FACT、Top1およびH3K4me3が同じ複合体に含まれていることを示し、それはクロマチンに依存したAIDの活性化に際しては、クロマチン上にTop1-DNA切断複合体を形成することを示唆していた。新規なクロマチン修飾蛋白を探索するためにsiRNA法を用いたスクリーニングにより、6つの可能性のある候補を同定できたが、それは強くCSRを制御していた。さらに、我々はS領域特異TALE結合タンパク質を産生することを目標としていたが、主要なTALE構成物の作成はうまくいった。まとめると、我々は、Spt6が介入するAID標的クロマチン制御に関する新しい機能的データを得ることができ、また新規クロマチン蛋白を同定できた。その機能解析によって、AIDによって引き起こされるゲノム不安定化をコントロールするヒストンのエピジェネティックな制御を明らかにできる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、CSR制御に強い効果を示した2つのクロマチンタンパク質に焦点を絞ることを計画している。詳細な研究によって、AIDによるCSR、SHMおよび異常なトランスロケーションに関するそれらの役割が導かれるだろう。Top1-FACT-H3K4me3の相互作用とクロマチン切断複合体形成の正確な様式を探索する。この点に関しては、S領域TALE結合性タンパク質を利用することでS領域の繰り返し構造と関連付けられるDNA切断を干渉する能力をためす実験をする予定である。他のTALEのCSR制御の特質に基づいて追加的な実験を考える。in vivoでのAIDによって導入されるゲノム不安定化のクロマチンの役割を探索するために、我々はヒストンシャペロンSpt6ノックアウトマウスの作成を計画している。我々はその基となるマウスを得ており、それはCre特異的交差性を必要としており、現在継続中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
我々が初年度の研究計画目標をほぼ達成したように、次年度においても予定通り進むための予算が必要である。次年度の主要な到達点の1つとして、我々がsiRNA法を用いたスクリーニングによって同定した新規クロマチンタンパク質の特性を明らかにすることが挙げられる。したがって、主な研究費用は、siRNAに基づいた細胞培養作業、およびタンパク質免疫沈降を含むクロマチン関連作業(クロマチン免疫沈降) に必要な試薬およびキットに使われる。さらに、我々の仕事を発表、討議するための国内外の会議に出席するための費用に役立てたい。 消費可能な研究試薬:~1,400,000円 会議参加/publication(発表)を伴う:~200,000円
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