研究課題
本年度はヒト線維芽細胞やヒトES細胞およびヒトiPS細胞などにおけるプロテオミクスによる解析をより詳細に行うために定量精度の向上を進めてきた。我々はこれまでにメートル長モノリスカラムを用いることで発現蛋白質の同定数の向上を達成してきた。しかしながら、細胞ごとに解析を行っているため定量精度に欠ける点が問題となってきた。この点を改善するためにいくつかの定量手法を検討し、iTRAQ法を用いることで精度よく定量できることが分かってきた。この方法であればサンプルごとに別のラベリングを行い、それらを同時に解析することができる。このiTRAQ法を用いることでヒト線維芽細胞やヒトES細胞およびヒトiPS細胞などにおける蛋白質の発現を精度よく定量することが可能となった。また、ヒトES細胞やiPS細胞のサンプルを容易に大量に準備できるような新たな培養法の確立も行った。
2: おおむね順調に進展している
24年度には同定数の向上を達成し、25年度にはその手法を応用し精度良く定量できる系の確立を行うことができたため。
24,25年度の研究期間において細胞における蛋白質の発現を大規模かつ定量できる系を確立してきた。26年度はこの系を用いて何種類かのヒト線維芽細胞やヒトES細胞およびヒトiPS細胞などにおける定量プロテオミクスを行う。この結果からヒト多能性幹細胞における蛋白質の働きを解析し、その知見が初期化メカニズムに関与しているのかについても検討したい。また、重要因子として注目しているL-Mycの機能を同プロテオミクスの手法により解析を行いたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Scientific Reports
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http:/ / www.cira.kyoto- u.ac.jp/ nakagawa/