今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた造血回復については概ね達成することができたので、ヒト造血細胞の再生について詳細に検討する。すなわち、マウス実験によって得られた知見を再生医療に応用するためには、ヒト化モデル動物を用いた解析が必須である。申請者らは、前臨床試験として有用なヒト造血系再構築モデル実験系を確立した(Yahata, et al. J Immunol, 2002)。また、免疫不全マウスにヒト臍帯血CD34+細胞を移植すると、長期間にわたって造血系を維持し続けるヒトHSCの動態を解析する実験系を確立した(Yahata, et al. Blood, 2006)。さらに、移植後1~2週間で好中球や血小板といった初期生体防御を担う細胞群への分化能の高いHSC集団を同定することに成功し、ヒト造血系の初期再生反応を解析する生体モデル系を確立した(Yahata, et al. Stem Cells, 2008)。そこで、これらの実験系を利用し、新規分子標的薬がヒト造血系の早期回復と長期造血維持においても効果を発揮するか否かを検討し、臨床応用につなげる知見を得る。
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