研究課題/領域番号 |
24590363
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
土田 邦博 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (30281091)
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キーワード | 幹細胞システム / 筋衛星細胞 / 間葉系前駆細胞 / 細胞分化 / 小分子RNA |
研究概要 |
幹細胞研究を利用した再生医療への応用の実現化が期待されている。骨格筋組織に関しては、筋芽細胞やiPS細胞由来の筋細胞の移植治療応用が想定される。しかし、骨格筋が全身にくまなく存在し生体の40%を占める最重量の臓器であることから、再生治療は未だ実現していないのが現状である。従って、筋に存在する幹細胞システムの理解を深めることは医学応用の面からも重要である。骨格筋では、約50年前に電顕観察から発見され解析されてきた筋細胞を産み出す筋衛星細胞が重要な幹細胞である。それに加えて、近年、骨格筋内には筋衛星細胞以外の幹細胞が存在し、筋分化のみならず、脂肪化・繊維化・骨化に寄与することが明らかにされている。哺乳類の骨格筋試料から、筋衛星細胞とは局在が異なり、脂肪細胞・繊維芽細胞・骨芽細胞等に分化する細胞が存在することが明らかとなっている。この新規の間葉系幹細胞と筋衛星細胞を明確に分離して取得し分化培養させる手法を開発した。新規の幹細胞は、試験管内では、脂肪細胞・繊維芽細胞・骨芽細胞・軟骨様細胞への多分化能を示した。培養条件や移植条件によって脂肪細胞を産み出す細胞として働いたり、異所性骨化や繊維化に寄与するという知見が得られた。近年、小分子RNA核酸分子 (miRNA)が、細胞分化に寄与することが解析されている。間葉系前駆細胞からの骨芽細胞分化に関与するmiRNAを見出し、阻害実験によりその機能を精査した。さらに、筋肥大経路で作用する小分子RNA核酸を同定し、サイトカインシグナルとの相関を明らかにした。多くの学術論文や関連する英文総説を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。骨格筋に存在する幹細胞を効率よく単離し培養する基盤技術が開発された。筋分化の新たな制御機構の解明に積極的に取り組み、良好な予備結果を得ている。欧文雑誌への掲載も多くなされた。骨格筋関連の欧文総説依頼を受け発表した。
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今後の研究の推進方策 |
筋に存在する幹細胞システムの解析を通して、分化素過程、病態との関連を調べる。これまでの研究成果を踏まえて、分化調節因子の候補となる小分子RNAの機能を阻害実験で明らかにし、筋分化経路の新たな制御機構を探索する。分化過程で変化するシグナル伝達経路に着目し、Akt/PTEN経路、Smad経路、レチノイン酸経路等を中心に筋再生・筋肥大や筋萎縮のシグナル経路を包括的に解析する。骨格筋に存在する幹細胞システムの多分化能や各々の相互作用の理解を深め、筋難病で生じる筋量と筋力の低下・筋内脂肪沈着・線維化・筋変性といった病態が生じる機構を明らかにし、根本的な治療の基盤となる研究を展開させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
基金化のため小額の次年度使用額が生じました。次年度分の支払い請求額と合わせ、効率よく研究の進展のため使用します。 研究遂行に必要な消耗品、成果発表旅費、動物維持のための実験補助の人件費等に使用する事を計画しています。
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