研究課題/領域番号 |
24590370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大歳 維知子(西島維知子) 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70600394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Nrf1 / プロテアソーム / 筋萎縮性側索硬化症 / モデルマウス |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患は、神経細胞への異常タンパク質の過剰な蓄積が病態の発症に寄与している。その原因の一つとして、近年、プロテアソームの機能不全の関与が明らかになりつつあるが、詳細な機構は未だに不明である。 最近、生体防御関連遺伝子の発現を制御する転写因子Nrf1が、プロテアソームのサブユニットタンパク質の転写を促進し、プロテアソームの活性化を代償していることが明らかになった。この知見を元に、本研究課題では神経変性モデル動物であるヒト変異SOD1遺伝子発現マウスにNrf1遺伝子を導入し、Nrf1の活性化が神経変性の軽減に貢献するかを検討する。 平成24年度は、ALSモデル動物であるH46R変異SOD1遺伝子発現マウス(H46R変異SOD1-Tgマウス)と、転写因子MafG遺伝子の遺伝子発現制御領域にNrf1cDNA配列を連結したMGRD-Nrf1トランスジェニックマウス(MGRD-Nrf1Tgマウス)を交配して、hSOD1(H46R)Tg/+::Nrf1Tg /+(Double-Tg)マウスを作製した。転写因子MafGは、Nrf1とヘテロ二量体を形成して転写調節を行うことから、MafG遺伝子の発現制御領域を用いた本TgマウスのNrf1遺伝子の発現パターンは本来のNrf1遺伝子の発現パターンに準じていると予想された。現在、Double-Tgマウスは、正常に誕生・成長しており、hSOD1(H46R)Tgマウスで観察される神経変性のNrf1遺伝子の導入による軽減を次年度に確実に明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H46R変異SOD1-Tgマウスの入手先が学外の研究施設であり、繁殖、輸送/搬入、検疫等の手続きに時間を要したために、実験計画より遅れが生じた。また、実験開始後も当初はhSOD1マウスの繁殖が難しくDouble-Tgマウスの作製に時間を要した。 しかし、平成25年に入り、マウスの繁殖も安定して来たので、遅れを取り戻して来ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、今年度に作製が完了してDouble-Tgマウスを用いて、神経変性の軽減に関する研究を加速させる。具体的には、本マウスの神経変性の軽減の指標方法として、(1)運動失調の程度(ロータロッドを用いた歩行協調運動とクラスピング(マウス尻尾を吊るした時の足の折り曲げ行動)の測定)、(2)神経変性に伴う筋低下による体重減少の程度、(3)生存曲線等を測定する。 また、SOD1-Tgマウスで観察される中枢神経系の病変(特に脊髄の軸索変性と脊髄前角領域のユビキチン陽性細胞の増加、ユビキチンタンパク質の凝集)を解析する。 さらにDouble-Tgマウス中枢神経におけるプロテアソーム複合体の各サブユニットの遺伝子発現とタンパク量の動態を解析する。細胞株を用いた実験系でNrf1の遺伝子の過剰発現により、プロテアソームのサブユニット(PSMB6/β1, PSMA2/α2, PSMC4/S6b, PSMB4/β7等)の転写が上昇することから、本申請のマウス脳でも同遺伝子・タンパク質群の発現の上昇が期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額にあわせて、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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