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2013 年度 実施状況報告書

転写因子Nrf1による神経変性疾患の治療に向けた分子基盤解析

研究課題

研究課題/領域番号 24590370
研究機関東北大学

研究代表者

大歳 維知子 (西島 維知子)  東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (70600394)

キーワードNrf1 / プロテアソーム / 筋萎縮性側索硬化症 / モデルマウス
研究概要

筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患は、神経細胞への異常タンパク質の過剰な蓄積が病態の発症に寄与している。近年、プロテアソームの機能不全と神経変性との関連性が明らかになってきた。さらに生体防御関連遺伝子の発現を制御する転写因子Nf1が、プロテアソームのサブユニットタンパク質の転写を促進し、プロテアソームの活性化を代償していることが明らかになった。このような研究背景を元に、本研究課題では神経変性モデル動物である変異SOD1遺伝子発現マウスにNf1遺伝子を導入し、Nf1の活性化と神経変性の軽減を検討した。
平成25年度は、平成24年度に引き続き、ALSモデル動物であるヒト変異SOD1遺伝子発現マウス(H46R変異SOD1-Tgマウス)と、転写因子MafG遺伝子の遺伝子発現制御領域にNrf1cDNA・FLAG配列・polyA配列を連結したMGRD-Nf1トランスジェニックマウス(MGRD-Nrf1Tgマウス)を交配し、Double-Tgマウスの作製と繁殖を試みた。さらに、今年度はDouble-Tgマウスの神経変性の解析を開始した。
Double-Tgマウスは正常の比率に誕生するが、成育における体重の増加は野生型や各Tgマウスに比して低下傾向が見られた。さらにH46R変異SOD1-Tgマウスと比較して、Double-Tgマウスでは生存日数の減少が観察された。この結果は我々の立てた仮説「Nf1の活性化が神経変性の軽減に貢献する」と逆であった。より信頼性の高い結果を得るために、現在各遺伝子型のマウス数を増やして解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者らは、MGRD-Nrf1TgマウスとH46R変異SOD1-Tgマウスを交配し、Double-Tgマウスの作製と繁殖に成功した。さらに、1)Double-Tgマウスの成育、2)H46R変異SOD1-TgマウスとDouble-Tgマウスにおける神経変性症状の経時的比較、3)H46R変異SOD1-TgマウスとDouble-Tgマウスの神経変性由来の筋低下による体重減少の経時的比較、4)各種Tgマウスの生存曲線測定を行い、神経変性におけるNf1遺伝子の役割について観察することが出来た。

今後の研究の推進方策

最終年度である平成26年度は、Double-Tgマウスを用いて、神経変性におけるNf1遺伝子の関与について研究をまとめる。具体的には、本マウスの神経変性の軽減の指標方法として、平成25年度に進めて来た1)神経変性症状の比較2)神経変性に伴う筋低下による体重減少の計測、3)生存曲線の作成をマウス数を増やして再試験を行う。さらに、4)運動失調の測定(ロータロッドを用いた歩行協調運動とクラスピング(マウス尻尾を吊るした時の足の折り曲げ行動)、5)SOD1-Tgマウスで観察される中枢神経系の病変(特に脊髄の軸索変性と脊髄前角領域のユビキチン陽性細胞の増加、ユビキチンタンパク質の凝集)を解析する。
また、Double-Tgマウス中枢神経におけるプロテアソーム複合体の各サブユニットの遺伝子発現とタンパク量の動態を解析する。細胞株を用いた実験系でNrf1の遺伝子の過剰発現により、プロテアソームのサブユニット(PSMB6/β1, PSMA2/α2, PSMC4/S6b, PSMB4/β7等)の転写が上昇することから、本申請のマウス脳でも同遺伝子・タンパク質群の発現の上昇が期待される。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度において研究を効率的に推進したことにより、次年度使用額が発生した。
次年度使用額は、平成26年度請求額にあわせて平成26年度の研究遂行に使用する。

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公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

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