研究課題/領域番号 |
24590375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 靖彦 金沢大学, 医学系, 准教授 (20313637)
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研究分担者 |
山本 博 金沢大学, 医学系, 教授 (00115198)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | RAGE / 可溶型RAGE / shedding |
研究概要 |
先ずは、細胞内cAMP上昇試薬によってヒト・マウスRAGEがsheddingを受け可溶型RAGE(sRAGE)が生じることを見出した。これを引き起こす細胞内シグナル伝達経路には、cAMP上昇に伴うprotein kinase A (PKA)の活性化、続いてヒトRAGEでは主にMMP2, 9活性化が、マウスRAGEにおいてはMMP9活性化が重要であった。これとは別に、RAGE shedding誘導の薬剤・化合物のスクリーニングをNFkBのプロモーター配列下流にluciferase遺伝子を組み込んだ安定ヒトRAGE過剰発現ラットC6グリオーマ細胞を用いて行った。リガンドとしてはS100タンパクを用いた。Screen-Well@FDA Approved Drug Library(2 mg/mL) BML-2841J Version 1.6Jの約640種類の薬剤について、一次スクリーニングを行った結果、102種類の薬剤でNFkB活性化シグナルの抑制作用が認められた。今後は候補薬剤について、RAGEシグナル抑制作用の濃度依存性およびRAGE shedding増強作用を解析し、RAGE sheddingの分子メカニズムを追究する。また、細胞培養系で内在性のsRAGE, esRAGEを検出することもなく細胞膜上のsheddingを容易に且つ安定に検出可能なモニタリングアッセイシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の通り、RAGE shedding誘導の薬剤・化合物のスクリーニングを行い、102種類の候補薬剤・化合物の有効性を見出した。今後は、新たに樹立したRAGE shedding安定検出モニタリングアッセ系と組み合わせることで、RAGE sheddingの分子メカニズムの追究が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
RAGE shedding誘導を引き起こす候補薬剤・化合物の2次、3次スクリーニングを行う。RAGE細胞内ドメインC末端にHAあるいはHisタグを付加した発現ベクターコンストラクトを用いたsheddingによる切断後のRAGE細胞内C端ドメインの細胞内局在、特に核への移行の有無を調べる。また、ヒト・マウスRAGEタンパク細胞膜近傍領域のshedding部位を同定するための絞り込みを行う。研究代表者がこれまでに独自に樹立・維持しているヒトRAGE過剰発現糖尿病合併症モデルを用いてRAGE sheddingを引き起こすことが病態発症進展の予防・治療に繋がるかどうかの効果判定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画通り消耗品(細胞培養用培地・血清・プラスチック器具・生化学分子生物学試薬など)の購入と実験動物用マウスの購入などを行う。また、日本糖尿病学会、日本生化学会、米国糖尿病学会など関連学会への参加旅費とする。また、複数の学術論文の作成と投稿を行う予定である。
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