研究課題
糖尿病合併症の発症進展には、生体高分子の非酵素的糖化反応による後期糖化反応生成物(advanced glycation end-products, AGE)の形成とこれを認識する受容体RAGE(receptor for AGE)の相互作用が重要である。一方、RAGEには細胞内シグナル伝達を引き起こす膜結合型の他に、細胞外領域切断(ectodomain shedding)によって産生される可溶型RAGE(soluble RAGE, sRAGE)がある。sRAGEはリガンド結合部位を持つため、細胞外でリガンドを捕捉し細胞表面の膜型RAGEとの相互作用を阻害することでデコイ受容体として働く。したがって、このshedding機構を増強することは、糖尿病血管合併症の進展に抑制的に働くと考えられる。本研究ではRAGE shedding誘導の薬剤・化合物のスクリーニングをRAGEの下流シグナルであるNFkBを指標として行った。薬剤ライブラリーとしてScreen-Well® FDA Approved Drug Library(2 mg/mL) BML-2841J Version 1.6Jを使用し1次スクリーニングを行い、その結果、約640種類のうちで102種類のヒット薬剤・化合物を同定した。続いて薬剤・化合物の濃度依存性を調べる2次スクリーニングを行い、46種類にまで絞り込むに至った。今後は、細胞培養系で細胞腫を変えてもRAGE sheddingが生じるのかどうかを検証し、さらにヒト型RAGEを発現するマウスを用いた動物実験で有効性を確認していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
RAGE shedding誘導の薬剤・化合物のスクリーニングを行い、1次スクリーニングにより102種類のヒット薬剤・化合物を得た。さらに、濃度依存的な有効性を調べた2次スクリーニングにより、そのうちの46種類にまで絞りこむことに成功した。細胞培養系で細胞腫を変えたアッセイ系、ヒト型RAGEを発現するマウスを用いた動物実験へと展開が可能となった。
これまでに得たヒット薬剤・化合物候補46種類を用いて、さらなるRAGE sheddingの検証を行う。同時にヒト・マウスRAGEタンパク細胞膜近傍領域のshedding部位の同定も行う。研究代表者がこれまでに独自に樹立・維持しているヒト型RAGEを発現する糖尿病合併症モデルマウスを用いてRAGE sheddingを引き起こすことが病態発症進展の予防・治療に繋がるかどうかの動物実験を行う。
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