研究課題/領域番号 |
24590376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
村上 優子(渡並優子) 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 主任研究員 (70405174)
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研究分担者 |
門松 健治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80204519)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / 合成致死 / DNA損傷応答 |
研究概要 |
MYCNの増幅と合成致死表現型を示す遺伝子を神経芽腫細胞株を用いてゲノムワイドスクリーニング(1次スクリーニング)を行った。 準備として最初に使用する細胞株を作成した。具体的には、MYCNがsingle copyの神経芽腫細胞株SH-EPにコントロールベクター及びMYCN過剰発現用のプラスミドをレンチウィルスを用いて導入し、セルソーターで導入された細胞だけを選んだ。次にそれらの細胞へのライブラリーウィルスの感染効率を測定し、実際に感染させるウィルス量を決定した。 それらの準備を終えた上でshRNAライブラリーを感染させ、ゲノムを回収し、PCRで増幅した後アレイ解析を行い候補遺伝子の抽出を行った。これらの行程は計画通り北海道システムサイエンス(株)及び名古屋工業大学の竹内博士の協力を得た。 また、MYCNの増幅と合成致死表現型を示す候補遺伝子Smc2について解析を進めた。具体的には、Smc2がMYCNの新規ターゲット遺伝子であること、MYCN増幅タイプの細胞株でのみSmc2をノックダウンするとDNA損傷及びアポトーシスを誘導すること、DNA損傷応答遺伝子のいくつかのものについてMYCNと協同して転写制御を行っていることを示した。また、実際の神経芽腫患者予後についてもMYCN増幅とSmc2の低発現は合成致死表現型を示唆する結果が得られたことから、予後判定のマーカー及び分子標的候補になると考え、特許出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞の作成およびコントロールウィルスを導入したスクリーニングの条件検討を行った。また、その条件で1次スクリーニングを2度行い、候補遺伝子を得た。 さらに、個別に合成致死遺伝子と同定した候補遺伝子の一つについて、MYCNの増幅と候補遺伝子のノックダウンが合成致死表現型を示す分子機構を具体的に明らかにし、また、実際の神経芽腫の患者での予後との関連も示唆された事から、特許申請を行った。 以上の事から、申請書の計画通りほぼ進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1次スクリーニングの結果から得られた候補遺伝子について、神経芽腫患者の発現アレイデータ及び予後データでも合成致死表現型を示す遺伝子を選びだし、選び出された遺伝子について個別の2次スクリーニングを行う。 アレイデータ及び予後データの解析については引き続き共同研究により遂行する。 個別の2次スクリーニングにおいて細胞レベルでも同様の結果が得られたものに関しては合成致死表現型を示す分子機構の解析を行う。 また現在得られている候補遺伝子2種についてもさらに分子生物学的解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画を引き続き遂行するために、1)試薬・キット類、2)細胞培養用品(血清・培地など)、3)抗体などに使用するとともに、研究打ち合わせや学会発表のための4)情報通信費、5)旅費に使用する予定である。
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